掲載日 : [2005-02-02] 照会数 : 8221
<国籍条項訴訟>先行自治体「方針変わらぬ」
裁量権付与歓迎も
最高裁大法廷での逆転判決にも、在日外国人の地方公務員採用で先行してきた自治体になんら動揺は見られない。管理職採用の判断を自治体に委ねているからだ。公務員採用を最高裁に認められたことは隔世の感がするとの声すら出ている。各地から次のようなコメントが寄せられた。
現状認知の判決 橋本大二郎・高知県知事
この判決は形の上では原告の敗訴ですが、結果として、最高裁としては初めて外国籍の方の公務員への採用を認めた上、管理職への門戸を開くかどうかも各自治体の裁量に委ねています。私たち一部の首長が、国籍条項の撤廃に取り組んでいた時、国が「当然の法理」という、理屈にならない理屈で外国籍の方の公務員採用にかたくなに抵抗していたことを思い起こしますと、時代の流れが大きく変わったことを実感します。
住民本位で市政 木下博信・草加市長
国際化が進む中では各自治体が対応を求められており、当市としても現在外国籍職員を採用しています。
今回の判決は、管理職に登用することが違憲であると禁じたものではないと受け止めており、今後ともこれまでと変わりなく住民サービス、パートナーシップという視点で対応していきたいと考えています。
了見が狭すぎる 村西俊雄・米原町長
米原町は、住民投票において初めて永住外国人の投票を認めました。さらに、民生委員や人権擁護委員について国籍条項の撤廃を国に求め、開かれた地域社会の実現に努力しています。
今回の最高裁判決は、二審・東京高裁判決から大幅に時代を逆戻りさせた判決です。
地方行政には国や国民の統治にかかわる公権力行使ばかりでなく、真に住民の福祉向上に携わる部門が多々あります。これらの職種に対しても一律に管理職への道を閉ざし、管理職イコール公権力の行使としたのはあまりにも了見が狭すぎると思います。
特段、影響ない 大阪市人事委員会担当課長
検討の結果、特段、影響はないとの結論に達した。外国籍の職員採用にあたっては、大平元首相当時から自治体の裁量に任されている。市は配置、昇任とも「当然の法理」を前提にしている。外国籍職員はいまや212人に達し係長・課長クラスも11人を数える。いまさら判決で門戸を閉ざすようなことはない。
自治体の判断で 兵庫県川西市人事担当者
判決要旨をざっと読んだ。96年の白川自治相見解と似通っているなと感じた。地方分権の流れのなか、各自治体の判断と責任で採用してもいいのだと、個人的には受け止めた。孫敏男さんの管理職昇任は、彼の仕事ぶりと能力を見て、平等に判断した結果だ。われわれのこれまでの人事政策が否定されたとは思わない。
〞OK〟期待した 福井県武生市人事担当者
市は外国籍の任用配置について法律があればそれに従うが、国のような四角四面な考え方はとらない。外国人もともに生きる市民との考えだ。三木勅男市長は99年の門戸開放にあたって、助役まで昇任できるとまで明言している。最高裁は思い切ってOKと言ってもよかったのではないかと、個人的には思っている。
課長職にも任用 川崎市人事担当者
私どもの任用の形について最高裁から否定されたとは思わない。「当然の法理」に抵触しない限り、外国籍者でも決裁権限のない管理職なら課長級ポストにも就けるという方針はこれからも維持していく。現在はたまたま有資格者が出ていないだけの話だ。
(2005.2.2 民団新聞)