掲載日 : [2005-02-16] 照会数 : 7879
目に焼きつく在日100年 第3回民団フェスティバル(05.2.16)
[ 写真に収められた在日の生活史を感慨深げに見いる参加者 ]
写真・資料に釘づけ
映画祭で「戦後史」ほうふつ
語り継ごう「在日」を!
今年で3回目を迎える民団フェスティバルが、10日から13日まで民団中央会館で開かれた。参加者は定番企画の写真展と新企画の歴史資料展に目を奪われ、映画祭では懐かしい同胞の生活場面や差別と闘う姿に感極まる参加者も少なくなかった。11日からは韓国屋台「布帳馬車」もオープンし、W杯サッカーアジア最終予選の初戦に勝利した韓国チームの試合やK‐POPの映像を観覧しながら、チヂミなどに舌鼓をうった。4日間で延べ5000余人が、在日100年の節目のイベントを様々な角度から楽しんだ。
延べ5000人が参加
写真展は「本国と在日」「家族の肖像」「在りし日の記録」の3本立てで、約150点が展示された。なかでも「韓国戦争に参戦する在日学徒義勇軍」「解放を喜ぶ同胞」の写真が印象的という声が多かった。
約50年前に写した写真が、「朝鮮美人3人衆」として展示されている山口の李外順さんと兵庫の朴福南さん。李さんは「写真展が開かれると聞き、思い切ってやって来た。一緒に写っているのは、小さい時から向こう三軒両隣りで暮らしてきた60年来の同胞の友人。火事で写真はほとんどなくなったが、朴さんに複写してもらった一枚の写真が晴れの舞台で使われ感激」と目を細めた。
朴さんは「写真っていい、若いっていいなと思う。いずれ大阪でも写真展が開かれるかもしれないと聞き、ずっと待っていたが、元気なうちに見ておきたかった」と話しながら、来場者にほかの展示写真の解説も買って出ていた。
「写真で真実を伝えることは大事」と写真展の継続開催を望む声がすでに寄せられている。
映画祭は「日本映画に描かれた在日Ⅲ」。上映作品は「京阪神殺しの軍団」「はじけ鳳仙花」「伽倻子のために」「指紋押捺拒否」「三たびの海峡」など6本。連日200人ものファンが駆けつけた。「監督のトークつきというぜいたくな映画鑑賞に感謝」という声が盛況の理由だ。
昨年「世界の中心で、愛を叫ぶ」の爆発的ヒットで「セカチュー」という流行語を生んだ「GO」の行定勲監督は、「日本もすでに多民族国家になっているし、アジアはボーダレスになっている。国という枠組みではなく、アジアの俳優を使ってコラボレーションしたい。次の映画はタイの監督を起用し、08年頃には100%韓国人スタッフで作品を作りたい」と抱負を語った。
新企画の歴史資料展は、「在日歴史資料館」の今秋開設を前にしたデモンストレーションで、渡航証明書や協和会手帳などの展示のほか、チェサ(祭祀)の祭壇を再現した。
日本人の参加者も目立った4日間にわたるフェスティバル。クロージングセレモニーは、在日4世の瑛愛がツインボーカルの一人を務めるグループ、東京エスムジカのライブが、勢狂的なファンを巻き込む中で幕を閉じた。参加者からは「民団に対するイメージが、大きく変わった。かつて左翼陣営だった人すら受け入れる懐の深さを感じさせた。継続開催を期待する」という声が多く寄せられた。
(2005.2.16 民団新聞)