掲載日 : [2005-06-08] 照会数 : 4806
北核問題…6者の共同利益追求は可能
北核問題の多元方程式を解く
◇朴英鎬・統一研究院先任研究委員◇
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曖昧カードで、米に責任転嫁
北韓の核が韓半島に再び危機をもたらしている。北は核兵器の保有を宣言し、約8000本の使用済み核燃料棒を全て取り出したと発表した。それを再処理すると、彼らの言葉通り核兵器庫が強化されるかもしれない。
危険な「核ゲーム」を繰り広げる北韓の論理は、米国が自分たちを「圧殺」する敵対政策を行うので「自衛」のために核を開発せざるを得ないのであり、米が敵対政策を捨てて北韓の体制安全を保障し、経済制裁解除やエネルギー支援を行うなどの措置を取れば、核問題の解決に乗り出すというものである。北韓は自身の行動に対する全ての責任を米に転嫁し、核兵器開発の正当性を強調している。
北韓に完成した核兵器があるのか、あるとすれば何基あるのか、外部からは正確には分からない。原料は持っていても、製造できていないという見方もある。北はこうした「核の曖昧性」のカードを崖っぷち戦術を通じて積極的に活用している。
体制の維持へ、突破口を模索
北の核問題はどう解決されるべきか。まずいくつか仮定をしよう。第一に、核兵器保有は南北関係の発展と韓半島の将来を脅かす。第二に、核兵器保有は北自らにより多くの危険をもたらす。したがって第三に、北は条件さえ合えば核兵器のプログラムを廃棄するであろう。第四に、韓国はいかなる場合にも、北の核兵器保有を受け入れない。第五に、北の核兵器保有は東北アジアで核ドミノ現象をもたらすだろう。
こうした仮定を前提に、北の核問題の多元方程式を解いてみよう。北は米の「敵対政策」のために核兵器を開発したと主張し、米の対朝非難を6カ国協議に参加しない理由にしている。米の対朝敵視は、冷戦体制の下で与えられた常識だった。米のため「南朝鮮解放」に失敗した北は、米を「帝国主義の頭」と呼び、敵対感を露骨に表した。そうした米にも北は時々接近を試みた。特に、社会主義陣営が崩壊すると、北はその米を通じて体制維持の突破口を模索する政策をとった。9・11テロ事件がブッシュ行政府の国家安保観や政策路線に硬直性をもたらしたが、冷戦時代の米の対朝観が今よりよかったとは言い難い。
したがって、北が対話と交渉による韓半島非核化を本当に願い、韓半島の平和と安定を望んでいるなら、6カ国協議に復帰しない理由がない。北が米を強く非難するのは、逆説的に米と交渉したがっていることを物語る。それで韓国・中国などが米を説得している。気に入らないからといって相手を罵倒し、その相手が自分を批判するといって交渉に出ないなら、交渉意思の「真実性」を信じることができない。国際社会がいつまでも北の論理に忍耐できるだろうか。北の崖っぷち戦術は自らの足場を狭めるだけだ。
次に、21世紀の超強大国であり、時には「帝国」と呼ばれる米がすべきことである。歴史が語っているように、超強大国は自己中心的な政策を繰り広げて多くの敵を作り出し、衰退への道に進んだ。9・11テロが衝撃そのものだったとしても、米は脱冷戦の秩序をリードする国家として、世界の世論に耳を傾けるべきである。北の核問題に対しても同様である。
北の体制はもちろん無数の問題点を含んでいる。しかし、独立以来、自由と民主主義、人権を外交政策の規範的価値としている米も、現実では独裁国家と妥協し、全体主義の国家と交渉した事例が多い。北と口喧嘩するのは、世界秩序の維持に責任があると強調する自らの国際的イメージにプラスにならない。米はイラクとは違って、北の核問題の外交的解決を強調し、北を主権国家と認め攻撃する意思がないことを明らかにしてきた。米はこうした立場の延長線上で、北に交渉の余地をより積極的に与える必要がある。
友情ある説得、時には激怒も
韓国は何をすべきか。韓国が一歩も譲歩できないマジノ線は戦争の防止であり、そのための基盤は強力な安保体制の維持である。北の核問題に関しては、韓国の最大の手段は周辺国と協力することであり、弛まぬ説得と経済的能力が副次的手段である。しかし、友情ある説得は、時には顔を赤らめるほど断固としたものがなければならない。
最後に、6カ国協議に参加している中国と日本、そしてロシアの役割である。第2次北核問題台頭以降、中国は時には北を擁護し、時には説得しながら、積極的な仲裁の役割を果たしてきた。しかし、北が6カ国協議の再開を遅らせ、核兵器の保有を宣言したことで、中国の役割の実効性に疑問が生じた。また、中国が北の核問題を自国の戦略的利益のために活用するのではないかとの疑いも登場している。
互いに譲歩の姿勢を持とう
中国が国際社会で信される強国になるには、北の最大後援国として、核問題の解決により積極的に貢献すべきである。中国は北をより強く説得するとともに、時には圧迫を行使する悪役も受け持たなければならない。
日本は米とともに北の敵対対象である。しかし、朝日交渉で見るように、北は日本と交渉することができる。北は日本に対する非難を強化しているが、相変わらず日本からの資本と技術移転を期待している。北の大量破壊兵器に特に敏感な日本は、北核問題の平和的解決のために役割を拡大することができるだろう。
ロシアの場合も同様だ。ロシアにとって北の核問題を平和的に解決することは、自国の極東地域の経済開発を促すためにも非常に重要である。北もロシアとの関係発展を重視している。ロシアが北の極端な行動を自制させ、6カ国協議への復帰を促すことができる余地がまさにここにある。
要するに、北核問題を解決する多元方程式を解くポイントは、6カ国協議参加国全てにとって利益になるようにすることである。参加国が互いに相手を認め、少しずつ譲歩し、妥協しようとする姿勢を見せれば、北核問題は解決段階に入るだろう。
(2005.06.08 民団新聞)