掲載日 : [2005-06-29] 照会数 : 4612
日本サムスンがシルクロード遺産保護へ
[ シルクロードを象徴する敦煌石窟 ]
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日本サムスンの文化財赤十字支援
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アジアへ架け橋…修復専門家100人育成へ
韓国の本社や中国拠点と連携
日本サムスン(李昌烈社長)は日本の一般企業で初めて、文化財保護・芸術研究助成財団の平山郁夫理事長(東京芸大学長)が提唱する「文化財赤十字構想」を支援する。「サムスン・シルクロード文化財保護フェローシップ」を6月21日に立ち上げ、シルクロードの文化遺産保護にたずさわる100人を超す専門家を中国で育成する事業の助成をしていく。期間は来年から2010年までの5年間。
平山郁夫理事長が提唱する「文化財赤十字構想」とは、「自然破壊や人為的な脅威で危機にさらされている人類共通の貴重な財産である文化遺産、文化財を保存修復し、次の世代へ手渡していこう」という内容。
この「文化財赤十字構想」の活動理念に賛同したのが日本サムスンだ。サムスンが掲げる企業理念は「人材と技術を通じて、人類社会の発展に貢献する」というもの。
平山理事長の「未来に向けた人材の育成と、文化面での国際交流を通じて世界平和に貢献する」という考えの多くと一致することから、今回の支援に結びついたという。
6月21日に都内で開かれた調印式で李社長は「日本や韓国、そして中国は、シルクロードを渡ってきた文明や文化のおかげで、今日の発展がある。韓国本社や中国にある拠点と連携し、日本とアジア全体の文化の架け橋の一助を担えれば幸い」とあいさつした。
2006年から5年間、サムスンとして日本および中国で総額1億4千万円を寄付。日本で「文化財赤十字構想」とシルクロード文化遺産保護の重要性を呼びかけていくとともに、平山理事長のシルクロードをテーマにした絵画カレンダーを自社費用で製作、販売(最終版販売は2010年)し、運営に必要な資金を集めていくとしている。
すでに同財団では日本中国友好協会、東京文化財研究所と連携、中国の国家文物局との協議も進めており、06年3月までに具体的な計画の策定を行っていく。
現在、想定されているは、韓国、中国、日本の中堅専門家の交流と教育プログラムの開発、遺跡や古建築保護管理現場や博物館で働く専門家の育成を図ることだ。
これら以外に日本サムスンでは同財団と連携して、日本の大学生を毎年10人から20人程度、シルクロードゆかりの地に約1週間派遣し、文化遺産保護、修復活動の視察、現地学生との交流などを計画している。
平山理事長は日本サムスンについて、「企業理念に感銘を受けている。これから3カ国が一緒になって、文化で後世のために事業を行えることはありがたいこと。今後、密接に協力していきたい」と話している。
同財団は「文化財赤十字構想」を中心として、「助成事業」「国際交流・協力事業」「普及・広報事業」「顕彰事業」の4分野で活動する。
国際交流・協力事業では、中国敦煌研究院の研究者の招聘、在外日本古美術品の修復事業のほか、カンボジアのアンコール遺跡保存修復で、人材育成などの支援、中国の敦煌莫高窟、龍門石窟、北韓の高句麗古墳の保護に関し、機材提供助成、アフガニスタン内戦で流出した文化財の保護やイラクの文化財救済支援事業などを行っている。
(2005.06.29 民団新聞)