掲載日 : [2005-08-17] 照会数 : 8990
「つくる会」反対VS支援 1000人…にらみあい
[ 区役所前で反対署名を呼びかける「親の会」のメンバー ]
ドキュメント8・12杉並区臨時教委
「つくる会」が結集
「つくる会」側は前日から300人が泊まり込んだという。区役所前で陣取り、「扶桑社支持」をアピールした。これに対して「つくる会」反対を訴える民団杉並支部団員と「杉並の教育を考えるみんなの会」「杉並・親の会」、労組なども8時前から区役所を取り囲んだ。ハンドマイクを使い双方「賛成」「反対」の意見をアピールするなか、警視庁機動隊が警戒にあたった。
傍聴希望934人
8時45分、20枚の限られた傍聴券を求め最終的には934人が長蛇の列をつくった。9時、「親の会」が区教委に最終署名を提出。署名はこれで1次から5次まで総数3万筆に達した。「親の会」が「これまで集めた署名を臨時教育委員会の開かれる部屋に置かせてくれ」と申し入れるも、聞き入れられなかった。
藤岡信勝氏も傍聴
傍聴券の抽選は区役所5、6階の2つのフロアに分けて実施。20人の傍聴者が決まり、別室で開会を待つ。このとき、扶桑社版教科書「歴史的分野」の代表執筆者である「つくる会」の藤岡信勝副会長が傍聴することが分かった。反対派は「教科書執筆の当事者が採択の場にいるのはおかしい」と教委に抗議。教委は「傍聴であれば、問題ない」と取り合わず。この日の傍聴には扶桑社社員も加わっていたともいわれる。
朝10時から臨時教育委員会開始。大倉雄之助委員が口火を切り、延々30分にわたって扶桑社版支持を訴える。これに宮坂公夫委員も同調。
一方、現場の教員から上がってきた調査票をすべて読んで臨んだという安本ゆみ委員が反対の立場を表明した。「行間から戦争に向かうのではないかという不安を持った」と。これに大倉委員が反論。重箱の隅をつつくような質問を安本委員に執拗に仕掛けた。趣旨は「つくる会」の公開質問状と同様の内容だった。
教育長が態度一変
開始から2時間が経過しようというとき、丸田委員長は大阪書籍版でまとめようと、納富喜朗教育長に同調を求める。これに対し、それまで3社の教科書を推薦しながらも旗幟を鮮明にしてこなかった納富教育長が、一転して扶桑社版を1位に押し、大勢が決した。
怒声、涙の委員も
丸田委員長が扶桑社版の採用を宣言すると、傍聴席にいた「親の会」のメンバーが「教育長としての良心はないのか」「歴史に汚点を残した」「(教育長は)退場だ」と大声を上げた。これに対して「つくる会」側も抗議の声を上げた「親の会」メンバーを「退場させろ」と応酬したが、丸田委員長はあえて制止しなかった。安本委員はハンカチを目にあてて悔し涙をこらえていた。
『公民』は別の教科書が採用された。
(2005.08.17 民団新聞)