掲載日 : [2005-08-31] 照会数 : 10363
秋の韓国…民団、相次ぎ在日関連行事
[ 省墓団事業の総連同胞も訪れる「望郷の丘」 ]![](../old/upload/43157f170a9d8.jpg)
祖国との紐帯固め、発展誓い合う場に
在日同胞にとって重要な歴史的節目が重なる05年も、韓日国交正常化40周年、祖国解放60周年を経て半ばを過ぎた。しかし、乙巳条約締結(第2次韓日協約=1905年11月)を起点とする「在日100年」に向け、また来年の民団創立60周年をにらんで、なお重要行事が目白押しだ。民団はこの秋、在日同胞と祖国同胞との紐帯を確認し、ともに発展を誓い合うイベントを、ソウル市を中心に相次いで開催する。
■□
在日学徒義勇軍の参戦55周年式典
まず、9月29日には、在日学徒義勇軍参戦55周年記念式典が、仁川市の寿鳳公園で行われる。
1950年6月25日、北韓人民軍の南侵によって引き起こされた韓国戦争は、韓国を崩壊の淵に立たせた。この危機を座視できず、在日同胞青年・学生の多くが祖国戦線へ志願の声を上げた。民団は7月2日の緊急全国団長会議で自願軍の派遣を決定、同5日には東京に4000余人が結集して、在日韓民族総決起大会を挙行した。
参戦した学徒義勇軍は、第1陣から第5陣まで、642人に達している。このなかで、135人が犠牲となり、日本に戻れたのは265人。他の242人は、韓国に留まらざるを得なかった。
52年4月のサンフランシスコ講和条約の発効によって、再入国業務を管理するようになった日本政府の、「義勇軍の出国業務に関知しなかった」との理由により、再入国を許可されなかったからだ。同族相残の戦争は、在日同胞にも死に別れ、生き別れの惨禍をもたらした。
義勇軍第1陣の仁川上陸が50年9月24日。在日学徒義勇軍同志会はこれに合わせ、毎年9月に記念式典を開催してきた。昨年の式典には、在日韓国青年会のメンバー150人が参席、戦火の祖国に飛び込んだ先輩同胞の犠牲精神に感動を新たにした。
生存する参戦者も高齢化し、年々少なくなっているだけに、55周年は歴史を語り継ぐうえで重要な意味を持つことになるだろう。貴重な歴史的体験を共有する場として、今年も多くの同胞の参列が望まれている。
■□
先人の苦闘をしのぶ第30回望郷祭
9月30日には、「第30回望郷祭」を天安市聖居邑料芳里の「望郷の丘」で挙行する。今回の望郷祭では、無縁仏合同納骨式をはじめ、追悼公演、地域住民との交流会を行う。また、在日同胞遺家族の連絡組織として、「家族会」を発足させる予定だ。
在日同胞社会は、日帝による植民地支配政策の強化によって派生した。解放前、解放後を問わず、苦役にあえぎ、生活苦に虐げられ、「故郷に帰りたい」という思いを果たせないまま亡くなった同胞は多い。
「望郷の丘」は、「故国に在日同胞の魂の安息所を作りたい」と願う民団の要望によって、76年6月に着工、同年10月2日に竣工した。約10万7000坪の広さがある。現在、独立運動家や民団設立に功労のあった人々を含む3086体の在日同胞が永眠している。
竣工式を兼ねた第1回合同慰霊祭には、遺家族や全国の民団幹部はもちろん、国務総理をはじめとする政府要人、忠清北道関係者、地域住民など約500人が参席した。民団はこれ以降、10月2日を前後して毎年、望郷祭を開催してきた。
■□
総連傘下同胞の省墓団事業30周年
民団は創団以来、日帝による強制労働などによって犠牲となり、無縁仏として日本各地に放置されてきた同胞の遺骨を発掘・調査し、祖国への奉還・慰霊を重要な事業としてきた。「望郷の丘」には、北は北海道から南は九州・佐賀県まで、日本各地で収集された無縁仏の地域合同墓碑がある。
「望郷祭」と切り離せない民団の主要事業に、朝鮮総連傘下の同胞のための省墓団事業がある。これは民団が、対立を乗り越えた人道的な次元から、総連同胞に故国訪問の道を開いたもので、9月11日でちょうど30周年になる。
この事業を通じて、故国の土を踏んだ総連同胞は約5万3000人に及ぶ。ここに参加した総連同胞たちは、解放後初めて、故郷を訪れ、肉親と涙の再会を果たしただけではない。その後、民団と韓国の司法書士団体の連携で、放置されたままの戸籍を整理することもできた。
在日同胞社会では現在、各地で民団・総連の交流事業や、同胞の生活権を守るための各種共同活動が行われている。省墓団事業はその基礎を築いたもので、南北和解、同胞和合を先取りした歴史的な意義は大きい。
民団では30周年を記念して、記念冊子の発行や功労者表彰とともに、10月末から11月初めまでの予定で、記念統一研修を実施する予定だ。
■□
「在日100年」「民団60年」写真展
民団は今年を、「在日100年」と定めてきた。在日同胞社会は植民地政策によって派生したとの認識に立つ民団は、乙巳条約締結を強要された1905年11月を、在日社会形成の起点と見なしてきた。そして、来年は民団創立60周年を迎える。
民団はこの機会に、韓国で初めて、「在日100年」と「民団60年」の歩みを紹介する写真展を開催する。期間は10月4日から15日までの12日間。会場はソウル市中区太平路1街のプレスセンター展示室。
第1展示室では民団の歩みを中心に、第2展示室では「在日100年」の足跡を中心に展示する。パネルは200点を予定している。
解放後、本国の保護にも、日本の保護にも恵まれず、寄る辺なき民として出発した在日同胞は、自らの生活を守るために民団に結集した。民団は一貫して生活者団体の姿勢を貫き、同胞と歩みをともにしてきた。
民団はその基本的な性格から、在日同胞の法的・社会的な地位の向上は、祖国韓国が発展してこそ可能との認識に立ち、国力増進に貢献してきた。また、韓日関係が険悪な時代から、両国の善隣友好のために、心血を注いできた。写真展は、そうした民団の姿を象徴的に示すことになるだろう。
「在日100年」展は、在日同胞の渡日史、社会形成史、生活史を網羅するものになる。解放以前の過酷な労働はもちろん、解放後の住宅がない、食料がない、職がないの、ないない尽くしの中でも、家族と同胞共同体の絆を確かめ合いながら、ひたすら前向きに生きてきた同胞たちの、心根が浮かんでくるはずだ。
(2005.08.31 民団新聞)