掲載日 : [2005-09-14] 照会数 : 9896
FMわいわい開局10周年へ…神戸・長田
[ 放送中の李玉順さん ]
【兵庫】「世界の言葉で長田から」を合い言葉に阪神大震災で傷つき、長田区で避難生活を送る外国籍住民に必要不可欠な生活情報を多言語で送り届けてきた地域コミュニティ放送局「FMわぃわぃ」(神戸市長田区)が来年、正式開局10周年を迎える。地域コミュニティ放送局は全国180カ所にあるが、8カ国語による多文化・多民族参加の放送局はここだけ。
浸透する多文化情報
「FMわぃわぃ」は95年1月、被災した同胞を勇気づけようとJR新長田駅近くの韓国学園から韓日2カ国語で震災情報と韓国の音楽を放送した「FMヨボセヨ」と、同じくベトナムとフイリピン、南米の外国籍住民を対象に5つの言語で放送した「FMユーミン」が震災半年後の7月17日に一つとなり、誕生した。正式開局は96年1月のことだった。
当初は「どこで炊き出しをしている」「なにをしている」といった生活情報が中心だった。やがて震災の混乱が一段落すると、外国人と地域住民との共通理解を手助けしながら、多文化共生の町づくりを促進する方向に重点を移していった。
出演者の一人、李玉順さんは乾敦子さんとのコンビでこの10年間、在日同胞が体験してきた差別事象を平易に語り続けてきた。これには深いわけがある。新渡日の外国人がかつて在日が味わってきたのと同じような差別の洗礼を受けているためだ。李さんは彼らに対する激励の思いを込めている。
日本人の聴取者はというと、李さんの放送を通じて少しずつ在日理解が進みつつあるという。この間、長田区役所にはアジアの看板も目立つようになった。出演者の一人金千秋さんは多文化共生町づくりのスタッフでもある。
(2005.09.14 民団新聞)