掲載日 : [2005-09-14] 照会数 : 10127
繋ぐ思い長丞に込め、高麗神社へ…民団が寄贈
[ 天下大将軍と地下女将軍。
慶北醴泉郡の長丞マウルで制作、今週中に船積み、釜山から東京へ ]![](../old/upload/4327cfb5aa729.jpg)
古代と現代…韓国と日本
【秋の行事を考える】
在日同胞の文化振興活動の一環である「10月のマダン」は、今年も各地で開催される。始まったのは92年。以来、1世から3・4世までが一堂に集うマダン(広場)として、すっかり定着した。民団の掲げる共生、同胞和合の理念の浸透を反映して、日本人や総連同胞が参加する地域も増えてきた。
民団は一方で、韓国でも在日学徒義勇軍参戦55周年式典(9月29日=仁川市寿鳳公園)、第30回望郷祭(9月30日=望郷の丘)など歴史を語り継ぐうえで貴重な節目行事のほか、初の試みとして「在日100年・民団60年写真展」(10月4日〜15日=ソウル・プレスセンター)を開く。
在日同胞の存在は、母国・居住国のいずれにも帰属し切れない。しかし、だからこそその歴史は民族史、日本史の一角を占める。いわば境界・辺境にあって、それぞれの歴史を独自の視座から検証し、国家・国民の中心から不可視化されかねない問題を提起し得る。韓日関係の、あるいは外国人と日本人の共生の架け橋を担う民団の各事業は、その在日の特性を貫こうとするものだ。
そうした意味からも、韓日両国で同時多発的に行われる一連のイベントは多彩であっても、民団がそこに込める思いははっきりしている。それを象徴するのが今回、古代3国・高句麗とゆかりの深い高麗神社(埼玉県日高市)に寄贈される「天下大将軍・地下女将軍」の長丞(チャンスン)だろう。
高麗神社の主祭神である高句麗からの渡来人、高麗王若光が、武蔵野国に新設された高麗郡の首長として赴任したのが716年。高麗神社は今、2016年に向けて「高麗郡健郡1300年記念事業」を推進中だ。古代と現代、韓国と日本の縁(えにし)を体現する場所に、堂々と立つことになる。
マダンの初年度、高麗神社で開催された関東地方協議会主催の民俗芸能祭典には、5000人の同胞が参集した。民団中央はこのイベントを記念して、木製の長丞を寄贈した。これが事故で破損し、腐食してしまったため、再建することになったものだ。
新しい長丞は韓国の専門家が制作。それぞれ、1本8㌧の花崗岩から加工されたもので、高さ5・5㍍、直径0・7㍍になる。そこには民団中央団長名で「韓日国交正常化40周年と韓日友情年を記念して建立 高麗神社に寄贈する」と刻印された。10月23日に同神社で開催される埼玉本部主催のマダンに合わせ、除幕式が行われる。
(2005.09.14 民団新聞)