掲載日 : [2005-10-05] 照会数 : 9834
山形国際ドキュメンタリー映画祭…7〜13日
[ しみじみと在日を描く「望郷」(1966年、韓国作品)
]
[ 在日少年たちの青春を描いた日本映画「ガキ帝国」(1981年) ]
「日本に生きる」意味問いかけ…在日関連の40作品上映
世界の優れた作品や、貴重な映像を紹介している「山形国際ドキュメンタリー映画祭2005」が7日から13日まで、山形市内の会場で実施される。今年の特集プログラムでは、「日本に生きるということ−−境界からの視線」と題し、1930年代から今日に至るまでの、在日に関わる作品40本以上が上映される。日本でこれだけまとまった作品が紹介されるのは初めてのことで、注目を集めている。
同胞の歩み多様に
この映画祭は、山形市誕生100年記念事業として1989年10月に始まった。隔年で実施され、今回9回目を数える。
今回の特集プログラムの「日本に生きるということ」では、これまで見る機会の少なかった、40作以上の在日関連映画をラインアップしている。 「映画史的な観点から作品を選定した」と話すのは、「日本に生きるということ」コーディネーターで、プラネット映画資料図書館代表の安井喜雄さんだ。以前から多くの在日たちが映画界で活躍してきたにもかかわらず、在日の映画史がないことに疑問を持っていた。
また今年は日本の植民地支配からの解放60年にあたることから、「日本の戦後60年を考える意味でも重要な年で、こうした作品を一堂に集めて見直すことは、正しい歴史を知るためにも有意義なはず。在日も日本人がみるのも大事なこと」だと話す。
特集では在日作家による作品をはじめ、日本人作家による在日をテーマにした多彩な作品なども紹介する。特別招待作品では在日50年の歴史を描いた、呉徳洙監督の記録映画「在日」(1997)を上映する。
「最初期の映画人」では、幻の映画「君と僕」(1941)の監督で知られる日夏英太郎(許泳)、韓国では「誤発射」(1961)「アリラン」(1968)などを撮影した金井成一(金学成)ら4人の作品にスポットを当てている。このほか、大阪で発見されたフィルムを解放60周年に合わせ、韓国映像資料院が復元した「解放ニュース」(1946)や、8・15独立記念1周年などの貴重な映像を含む「朝連ニュース」(1945〜47)などの珍しいニュース映画もある。
また70年代初頭の在韓被爆者を記録した作品や、指紋押捺制度に対する拒否運動を描いた作品など、在日同胞史に欠かせない貴重な映像も見逃せない。
日本未公開作品は、在日を描いた韓国映画「望郷」(1966)、「あれがソウルの空だ」(1970)のほか、在日の登場する日本映画で李學仁の「赤いテンギ」(1979)など4作。日本映画「煉瓦女工」(1940)や「ガキ帝国」(1981)ほかも上映する。
10月12日18時半から、呉徳洙、前田憲二ら4人の監督によるシンポジウムも開催される。会場は山形市内・七日町一番商店街に面する「瑳蔵」。 またプログラム「アジア千波万波」でも、在日コリアン2世の梁英姫監督や、韓国の監督による作品などが紹介される。 特集プログラム「日本に生きるということ」上映会場は、フォーラム4、山形市中央公民館4階。上映日時は要確認。入場券1回券前売り1000円(当日1200円)ほか。問い合わせは山形事務局(℡023・624・8368)、東京事務局(℡03・5362・0672)。
(2005.10.5 民団新聞)