掲載日 : [2008-02-06] 照会数 : 7363
<布帳馬車>企業評価の分かれ目
積水ハウスに勤務中、訪問先の顧客から差別的な発言を受けた徐文平さんを原告とする「在日社員本名裁判」で和解が成立して半年が経過した。和解内容は被告が謝罪し、解決金30万円を支払うというもの。「民族差別的な発言は社会的に許されない」ということが認められたのは大きな前進だった。
当初、徐さんは裁判闘争には消極的だった。最後は企業が裁判を全面的に支援すると明言したことが、徐さんを後押した。企業が本名を名のる在日社員を応援するなんて時代が変わったものだと当初は感心したものだった。ところが徐さんの表情が晴れない。もうかなり前から抑うつ状態が続いていたようだ。
提訴の動きが報道されると、「右翼が動いている」ことを理由に、徐さんは外勤から内勤で総務に配置替えになった。総務といっても、これといった仕事が与えれているわけではない。技術畑出身の徐さんにすれば大変な苦痛だったことだろう。裁判が終わるまでという条件だったため、じっと我慢したという。
支援会によれば2月1日には原状回復する方向で話が進んでいた。しかし、この日、会社側からはなんの音沙汰もなかった。結論は持ち越しとなった。「民族差別と闘うとはこういうことだったのか」と、徐さんは落胆を隠さない。
都内の某ホテルは右翼の街宣車を恐れて日教組に会場を貸さず、社会的な批判を受けた。逆に積水ハウスは企業評価を高めるいいチャンスだろう。(K)
(2008.2.6 民団新聞)