掲載日 : [2008-02-06] 照会数 : 7229
家族関係登録制度 東京で実務者研修会開く
[ 民団東京事務部長会が開いた家族関係登録制度研修会=1日
]
民団と公館が緊密対応
戸籍制度に代わる「家族関係登録制度」が施行されてから1カ月余。公館ごとに対応の違いもあり、代理申請を行う各地民団ではとまどいを見せている。担当領事を講師に招いて都内民団21支部の事務部長を対象に開かれた実務者研修会(1日、韓国中央会館)では、質問が相次いだ。
施行から1カ月
急がれる全国統一基準
新制度は個人の尊厳と両性平等をめざすもので、証明書は目的別に①家族関係証明書②基本証明書③婚姻関係証明書④養子縁組関係証明書⑤特別養子関係証明書−−の5種類からなる。
共通記載事項は、▽本人の登録基準地▽姓名▽性別▽本貫▽出生年月日だ。家族関係証明書には、父母・本人・配偶者・子どもの3代だけが記される。基本証明書には、本人の出生・死亡・改名など身分事項に関する内容が記載される。
研修会には、大使館から姜鎬曽、徐重根の両領事が出席した。事務部長らが強く要請したのが、添付書類である翻訳文の廃止。日本の公的機関で発行する各種文書(受理証明書または戸籍謄本など)に関して、ハングルの翻訳文を添付することが義務づけられているが、民団実務者の負担が大きく、支部の運営にも支障が出るのは必至だ。
徐領事は「翻訳文による受理証明書を別途様式化したので、この方法でしばらく様子を見たい。漢字で翻訳可能なシステムを検討中で、日本の法務省とも、文書の簡略化ができないか、協議中だ」と説明した。
また、「戸籍謄本の場合、1通ですべての家族関係を知ることができたが、新制度の出生・婚姻・死亡届けの際には3通が必要で、手数料も3倍になる。なんとか是正できないか」との質問に対し、領事は「よく理解している。改善策を協議中だ」と答えるにとどまった。
領事業務に関する実務者用マニュアル本の発行については、「全国の9公館ごとに対応に違いが見られ、統一するためにも、上半期中にはマニュアル本を出したい」と語った。
専門相談員を設置してほしいとの要望に対しては、「予算の関係で難しい」としながらも、「緊急事態には全力で対応する」と約束した。
「民団に業務代行を依頼すれば、個人申請者に比べてメリットがあるようにしてほしい」との要望については、「民団と協力しながら進めることが公館にとっても利点だ。民団側も手続きのスピード化に努めてほしい」と、「2人3脚」での推進に賛成の意を示した。
また大使館側は「北海道から九州まで、大使館領事部あてに郵送で申請依頼が多数来るため、仕事量が急増している。各地民団で申請するようお願いしたい」と要請した。
事務部長らは「公館も試行錯誤の中で努力中で、在日同胞のために便宜を図りたいという姿勢に共感した。支部では、証明書や旅券の代行手続き料を実費だけにし、他の面でのサービスを推進すれば、団員増加につながるはずだ。このような説明会をまた開いてほしい」と感想を語った。
国際・民生局では「全国の公館ごとに対応が違うと現場で混乱するばかりだ。同一の基準に向けて大使館領事部が中心になって進めてほしい」と要望している。
旅券の申請時 添付書類も変更
家族関係登録制度の実施により、旅券申請時の提出書類も変更になった。従来の戸籍謄本に代わり、家族関係証明書および基本証明書を各1通添付しなければならない。
新たな旅券発給申請書は関連法令の改正後に配布されるため、当面はこれまでの申請書を使用する。
その際、本籍地欄には家族関係証明書の登録基準地を記載し、戸主および関係欄は空欄のままにする。
(2008.2.6 民団新聞)