掲載日 : [2008-02-28] 照会数 : 8525
<特集>李明博新大統領に望む…在日同胞の声
清渓川復元工事で実証済み…決断と手腕に強い期待
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投資環境改善へ各種優遇措置を
梁龍雄さん(社団法人在日韓国人本国投資協会会長)内外同胞の新政府に対する期待感はとても強い。特にビジネスフレンドリーを掲げ、企業の投資環境を改善するとの新大統領の方針に在日同胞経済人も非常に共鳴を覚えているにちがいない。
海外に在住する同胞からの本国投資を活性化するためには、新政府としても積極的な誘致努力が必要だ。小規模投資者に対する保護をはじめ、各種優遇政策を推進するとともに不必要な規制を改善すべきだ。
新大統領の構想実現に向けて、当協会も協力を惜しまない。新政府のスタートとともに、在日同胞の本国投資がいっそう活性化されることを期待する。
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公約実現への環境醸成を
静岡・金兩基さん(評論家・比較文化学者)生活の窒息感から脱出したいという選挙民の変革願望が、七・四・七(7%成長・国民所得4万ドル・世界第7位の経済国)を公約にかかげた李候補を新大統領に選び、就任式を迎えたことを心から喜びたい。新大統領は至難な課題を公約にかかげた以上それを口約にしてはならず、国民が一緒に汗をかき、公約の実現に協力したくなる環境醸成を心して欲しい。
10年先のわが国の姿、その最大の課題である統一への姿がみえにくく、さらに、過去にとらわれず「未来志向」によることで韓日の円滑化をはかるというが、不発に終わった金大中元大統領の未来志向との違いも不透明である。国民、そして在日の一人として国の未来像が描ける時代づくりを期待したい。
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貧困と格差解消 民生の安定急ぐ
大阪・呉光現さん(聖公会生野センター総主事)フィリピンの友人から「韓国は今やアジア一の人権先進国だ」と言われた。この10年間で「人権先進国」という評価を受けたのは、アジアで誇りに思ってよいだろう。
しかし、この5年間、日本以上の格差社会が拡がり、「88世代」という貧困層を象徴するような言葉まで生まれてしまった。新大統領に次の3つを望みたい。
①人権先進国から人権大国さらには人権輸出国へ、アジアの先頭を②民生の安定。貧困・格差の課題を克服してこそ「人権」も生きてくる③海外同胞、特に在日同胞の総合的な政策を打ち立てて進めていってほしい。
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まず急ぐべき経済建て直し
神奈川・徐玉出さん
まず、経済を建て直してもらいたい。祖国が良くなってこそ、海外に住む私たちも自尊心を持って暮らすことができるからだ。そして、地方参政権獲得と教育支援にも力を注いでほしい。
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在日の現状に理解と関心を
大阪・鄭早苗さん(大谷大学教授)日本の道路工事や施設作りの工期の長さと比較して、ソウルの清渓川の復元工事は、あまりにも見事な工期とできばえだ。それだけ見て、私は李明博新大統領を敬愛する。実行力と手腕に対する敬愛である。
また、ブレーンのなかの2人は、日本で学位をとったと聞く。日本重視に政策の軸のひとつを定められるのなら、在日コリアンも見つめていただきたい。
民団のなしてきたことを評価し、韓国系民族学校を重視していただきたいということである。そして、日本政府には、無年金の高齢者と障害者問題を、せめて中国残留孤児並みに解決すべきだと明言してほしい。
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国民の誤った北韓認識憂う
東京・柳時悦さん(歯科医師)韓国では過去10年間、偏向した親北・太陽政策が続いたため、国民の金正日政権に対する認識が誤ったものになっていると感じざるをえません。反民主的・反人権的極悪性についての正しい認識が欠如してしまっているのではないかと疑わざるをえません。
韓国国民が金正日政権と北韓の実態、さらには韓国の社会状況をも正しく把握し、現在の世界情勢の中でどんな国家を建設していくべきなのかを賢明に選択できる見識力を養える、そういった社会状況を確立していただきたい。
また、永住外国人の地方参政権運動に対しても引き続き全面的な協力をお願いしたい。
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建国60周年で統一の基盤を
金秀さん(民団大阪府本部事務局長)今年、韓国は建国60年の還暦を迎え、再び元に還る年である。日本から解放され「光復」によってもたらされるかと思われた平和は、南北分断によって失われた。それは、在日コリアンにとっても同じ立場である。
国権が奪われた乙巳保護条約から数えて103年(植民地支配・分断国家)である。白衣民族の歴史的な課題である統一祖国の基盤を創っていただきたい。
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在日教員の処遇 政府間で協議を
兵庫・方政雄さん(県立湊川高等学校教員)いわゆる「91年問題」のとき、韓日の政府間協議を通して私たちの法的地位は幾分か向上しました。いま、日本における小・中・高の公立学校の在日教員は200人になろうとしています。しかし、いまだに「教諭」でなく「講師」採用です。「91年問題」から早20年近くが経つ。
私たちの地位について、日本政府との協議をぜひ再開してくださるようお願いしたい。
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観光客誘致増へ 地方資源開発を
夫順末さん(婦人会中央本部会長)「韓国に2、3回行くと見るところがなく、ものたりない」という声を聞く。多くの外国人観光客が訪韓してこそ、韓国が有名になる。ソウルだけでなく、地方の文化や観光資源をもっと開発して観光客誘致に励んでほしい。
地方参政権獲得は在日同胞の悲願。在日の心に永遠に残る大統領になってくれることを望む。
(2008.2.27 民団新聞)