掲載日 : [2008-03-26] 照会数 : 5391
朝鮮通信使友好・交流の歴史を残そう
[ 江戸時代の町並みを色濃く残す鞆港 ]
瀬戸内海〞海の路〟「世界遺産に」
鞆の浦など6寄港地関係者が連携
朝鮮通信使の寄港地となった広島県福山市の鞆の浦や岡山県瀬戸内市の牛窓など6つの港町を結ぶ〞海の路〟を韓日共同で世界遺産に登録しようと、韓国側の協力を得て昨年から瀬戸内各地で住民運動が活発化している。昨年は江戸時代の朝鮮通信使が訪日してから400周年を迎え、ゆかりの地で様々な記念事業が行われたばかり。友好交流の歴史を保存して次代と世界に伝えようとの動きが始動した。
中心となっているのは瀬戸内沿岸のまちづくりグループや住民で構成する「港町ネットワーク・瀬戸内」(事務局・尾道市)と「『鞆の世界遺産実現と活力あるまちづくりをめざす住民の会』を支援する会」。いずれも瀬戸内海の環境保全や歴史や文化を生かしたまちづくりをめざしている。
「港町ネットワーク・瀬戸内」は広島県福山市の鞆の浦をはじめ、岡山県瀬戸内市の牛窓、山口県の下関と上関、広島県呉市の下蒲刈、兵庫県たつの市の室津といった瀬戸内海の6つの港町の関係者で構成している。9日には福山市でシンポを開き、各地に残る朝鮮通信使関連の寺や遺構などの現状を確認しあった。
参加者からは「寄港地を船で巡るツアーを行い市民レベルで交流を深めよう」「洋上シンポを企画しては」といった意見が出た。同ネットの柏山泰訓代表は「寄港地の人間が集うことが世界遺産登録に向けての第一歩。今後は国境を越えた交流も深め、気運を高めていきたい」と意欲を燃やしていた。
一方、「『鞆の世界遺産実現と活力あるまちづくりをめざす住民の会』を支援する会」は、広島県と福山市が進める鞆港の埋め立て・架橋計画に反対する地元住民を支援する映画監督の大林宣彦さんや作家のC・W・ニコルさんらが呼びかけ人となって昨年3月に発足した。
「支援する会」からは「鞆をつぶしてしまったら、景観を絶賛した朝鮮通信使の声も消えてしまう。港と町並みを一体で残してほしい」という声が上がっている。
再現行列17回も 訪日400周年の昨年
朝鮮通信使の訪日400周年の昨年は韓日各地で17回の朝鮮通信使再現行列が催された。再現行列はソウル市からスタート。5月に釜山市で行われた「朝鮮通信使平和の行列」には2000人が加わった。日本では在日同胞団体と日本人の有志が15カ所で往時の行列をよみがえらせた。静岡市では民団と総連、日本人の有志で実行委員会を構成した。長野では市と民団が共催して善光寺本堂再建300年に花を添えた。京都市でも初めての再現行列が民団の力で実現した。
このほか全国17カ所の博物館・美術館で特別展、関連のシンポジウムも20回にわたった。
(2008.3.26 民団新聞)