掲載日 : [2008-06-19] 照会数 : 4793
外登法に代わる「在留管理制度」の狙いは
外登法に代わる「在留管理制度」の狙いは
外登法に代わる新たな在留管理制度の真の狙いは、不法滞在者が増えているなか、テロ対策・外国人犯罪防止を口実に在日外国人の日常生活をくまなく監視できるシステムを維持し、強化することにあるようだ。
たとえば、新制度の下では法務省・地方入管局の権限が格段に強化される。その一方、最寄りの市区町村は在留カードの「交付と管理」業務のごく一部を「経由事務」として行うにすぎない。すなわち、自治体本来の業務機関ではなく法務省の「下請け機関」と化すのではと心配されている。
そうなると、「自治体の裁量(自治)」はもっとも基本的なところで強い制限を受け、オーバースティの外国人にも行政サービスの必要から外国人登録証を自治体の裁量で発行するといったことはできなくなるだろう。なぜなら、新制度の対象となるのは「適法に在留する外国人」だからだ。この結果、地域住民でありながら、一部は「福祉」を失うことになる。
では、適法に滞在する外国人には利便性の向上が図られるのであろうか。現行制度では個人単位で登録されて世帯ごとの現況を反映していない。また、転出届の提出も義務化されていないことから、就学手続きや健康保険加入などの基礎資料としては不備が多いと指摘されてきたのは確かだ。
台帳制度では、日本人と同じく世帯単位で把握し、転出届のほか出生・死亡・婚姻などの各種届けを反映させる方向で検討されている。この結果、「国民健康保険や介護保険、児童手当などの漏れも防ぐことができる」という。在留カードは金融機関における口座開設、店舗や住居の賃貸借契約、そのほか生活の様々な場面で身分証明が可能となり、「わが国で生活していくうえでの利便性が向上すると思われる」ともいう。
だが、これをもって「日本国民と同様の制度」というのは無理がある。そもそも日本人は住基カードの受理と常時携帯を義務づけられていないが、在日外国人には刑事罰を持って強制する。やはり、「似て非なるもの」なのだ。
ちなみに、在日韓国・朝鮮人など特別永住者については、外国人登録証明書はなくす方向だ。新たな証明を発行するかどうかが検討されている。
(2008.6.19)