途上国の開発、貧困撲滅に全力
韓国系米国人のジム・ヨン・キム氏が1日、世界銀行(本部=ワシントン)の第12代総裁に就任した。2日の会見では、「世界経済について今が非常に重大な時期」と述べ、「途上国の成長と貧困の撲滅に全力を挙げる」考えを示すとともに、「韓国の成功が手本になる」と指摘した。任期は5年。
ソウル生まれのキム氏は5歳の時に両親とともに米国に移住。医師として中南米などの貧困地域でエイズ撲滅活動や公衆衛生の普及などに取り組んできた。
ハーバード大学の教授や世界保健機関(WHO)の局長などを歴任したほか、09年にはダートマス大の学長に選出され、アイビー・リーグ(米東部の名門8大学)で初の韓国系学長となった。
2日に本部で世界銀行の総裁就任会見を行い、「世界経済が重要な局面にある今、総裁に就任したことを光栄に思う。長らく世界で最も貧しい環境のなかに身を置き、働いてきたが、世界銀行で引き続き貧困に苦しむ人とともに働きたい」と述べ、途上国の成長と貧困の撲滅に全力を挙げる考えを示した。
キム総裁は就任と同時に、世銀ホームページに「意見投稿コーナー」を設けた。
動画を通じて「貧困層の声をしっかりと伝えることが一層重要だ」とし、▽貧困撲滅対策▽個人の発展に向けた革新▽加盟国の事例活用策などに関する意見を歓迎すると語った。
職員との対話では、「世界銀行がさまざまな難題を抱えているが、韓国を手本にすることができる」と強調した。
キム総裁は、「韓国出身の私が両親とともに米国に来た当時、多くの人々が韓国について地下資源がなく文化的欠陥が多い『経済が麻痺した無気力な国』と認識していたが、その後、韓国がどれほど発展したか見てほしい」と述べながら、「世界銀行の職員は、どの国でも(韓国のように)成功でき、不可能な国はないという楽観論で業務に当たるべきだ」と訓示した。
米外交消息筋によると、世界銀行が開発途上国などを支援するにあたり、成功モデルとしている韓国がキム総裁の初訪問国になる公算が大きく、9〜10月に訪韓することで具体的な日程を調整しているという。
欧米諸国の経済状況が厳しい中、開発途上国への支援が滞りがちだけに世界銀行の役割はいつになく重要だ。訪韓に際しては、物心両面での協力を求める狙いがあるとみられる。
(2012.7.11 民団新聞)