韓日交流イベント街ぐるみ盛り上げ
韓国人・日本人の交流と地域活性化を目指した合コンイベント「久保コン」(東京・新大久保)の活動が、地元店主らから注目されている。同地域で、街ぐるみの協力による大型イベントは初めて。仕掛け人である久保コン運営事務局代表でフリーライターの鈴木琢磨さん(34)の元には、「韓国文化を知ってほしい」「新大久保を盛り上げよう」という人たちから、新企画の話が持ち込まれている。
4月26日、第1回「マッコリ交流会」が開かれたJR新大久保駅の「ゆめいろカフェ」には在日、韓国人、日本人の男女46人が集まった。マッコリ好きなら飲酒だけでも満足なはず。だが、鈴木さんは「久保コン的要素」を取り入れた。久保コンが目指すのは日韓交流。男女の交流も楽しんでもらおうと利きマッコリゲームを企画し、大いに盛り上がったと語った。
マッコリ協会の金在浩会長とは共通の知人を介して会う。マッコリ文化の普及に情熱的な意欲を燃やしていた金さんと意気投合。同交流会は共同で主催した。
2カ月前には、「もっと新大久保を盛り上げたい」と新大久保語学院の李承代表がリーダーを務める新大久保映画祭の運営メンバーに抜擢された。今秋の開催を目指して会議を重ねている。
早稲田大学時代、留学生と交流を深める国際交流サークルに入ってから、韓国に対するイメージががらりと変わった。それまで韓国にはほとんど興味はなく、どちらかといえば印象は悪かったと話す。韓国人の友だちが何人もでき、彼らを通して韓国を好きになっていった。大学卒業後、出版社勤務を経て、11年からフリーライターに。当時、知り合いが立ち上げた街コンを手伝ううちに「新大久保で日韓交流をしたい」と思うようになった。
自身がそうであったように、「ほかの日本人にも韓国人との交流を通して、韓国に興味を持ってもらいたかった」からだ。第1回は在日と韓国人約40人を含む男女各250人が集まり、新大久保一帯は賑わいを見せた。だがここへ来て、彼らの交流に水を差すかのように出現したのが在特会(在日特権を許さない市民の会)だ。
久保コンに対して在特会系の人間からネット上で、バッシングとネガティブなスピーチが書き込まれた。例えば、「開催中止にさせよう」「統一教会の手先は潰さなきゃだめだ」などは一部に過ぎない。何か対策を打たなければと考えたがネット上だけに留まっている。「でも実際に来たらスタッフも含めて、皆、意地になってでもやろうという形にはなる」と結束は固い。
「在特会」の執ようなヘイトスピーチや政治的な問題などの影響もあり、新大久保全体で売上は前年比の7割程度だと言う。でもそれは「地域の方にも問題がある」と指摘する。韓流ブームに便乗して店を構え「常連客につながる仕掛けをしてこなかったところは厳しい。ここにきてはっきり二極化された」と感じている。
これまで10組以上の韓日カップルが誕生した。鈴木さんには以前、好きな韓国人女性がいたが、つき合うまでには至らなかった。だから「1組でも成婚したら主催者としては嬉しい」と本音で語った。この間、多くの在日や韓国人との出会いがあった。「その方たちのおかげで進めるなという気はしている」
(2013.5.22 民団新聞)