世界伝統医薬EXPOをPR
世界の伝統医薬EXPOが9月6日から45日間、慶尚南道山清郡東医宝鑑村で開催される。同EXPO組織委員会から昨年10月、弘報委員に任命された中澤俊子さん(東京都武蔵野市)は、「東医宝鑑村へのお誘い」と題した手作りのパンフを作成して参観を呼びかけている。
中澤さんは元高校教師。「小説・東医宝鑑」(李恩成著)を日本語に訳した小説「許浚」を03年に出版して以来、韓医学に魅了されたという。
「東医宝鑑」との関わりは、夫の豊島哲さん(上智大学教授)が生前、心血を傾けて小説「許浚」の翻訳作業に取り組んだのを目のあたりにしてからだった。01年に夫が事故で急逝すると、中澤さんは、「東医宝鑑は韓日両国の真の和解と友好を促進する」との言葉を思い出し、知人の弁護士らと相談のうえ、03年に自力で出版した。
中澤さんは当時を振り返る。「私は北京生まれで中国のことは知っていても、韓半島のことは知らなかった。夫の死後、早稲田大学に聴講生として通い、猛勉強するうち、歴史が立体的に見えるようになった。背中合わせの歴史を知るのは面白い。許浚の物語にも励まされた」
「東医宝鑑」が09年、医学書として初めてユネスコの世界記録遺産に登載されてからは、東医宝鑑記念事業団が06年から10年計画で進めている「国家プロジェクト」にも関わっている。10年には「東医宝鑑」の編さん、完成400年を記念する名古屋でのシンポ開催にも尽力した。
今年は「東医宝鑑」の発刊から400年。EXPO開催地が韓医学の発祥地で、東医宝鑑村のある山清に決まると、翌年から山清郡庁の招きで現地を訪れ、世界伝統医薬エキスポの弘報について協議してきた。
山清は智異山の麓にあり、山と水と人の3つの「清」が調和しているといわれる。山々の裾野には1000種類を超す薬草が自生している。中澤さんは、「村の人たちが大切に育てた薬草から生まれた韓方製品から手作りの温もりが伝わってくる」と話す。
現地から解毒効果が高いとされる桑塩を自費で取り寄せ、昨年から福島県南相馬市の保育園や幼稚園に定期的に届けている。子どもたちはおにぎりに振りかけたり、歯みがき、皮膚マッサージなどに用いており、好評だという。この桑塩は中澤さんが理事を務める新宿の文化センターアリランでも取り扱っている。
中澤さんは懇意にしている旅行会社であるサザンクロストラベルと提携してEXPO参観を呼びかけている。期間中は9月27日から10月7日まで山清に滞在する予定。
EXPOに関する問い合わせは中澤さん(℡/FAX0422・34・5674)、ツアーについてはサザンクロストラベル(℡03・5333・4381、FAX03・5333・4388、sctravel@nifty.com)。
(2013.7.17 民団新聞)