在日同胞設立「JINエルダ」埼玉県で初
【埼玉】外国籍の高齢者を主な事業対象とする埼玉県では初となる介護団体「JINエルダ」が6月から、川口市を拠点に活動している。運営主体は4月にNPOとして県から認可された「JIN愛育センター」(鄭錦伊代表理事)。「JIN」は仁の意味。高齢者への尊厳ある介護を旗印に掲げ、今後10年以内には24時間介護サービス付きの有料老人ホームの運営もめざす。
高齢者住宅も計画中
川口市の外国人登録者数は2万961人(11年9月末現在)と全国市町村では6番目に多い。国籍別では中国の1万2173人を筆頭に韓国・朝鮮、フィリピンと続く。年齢別ではこれから介護を必要とするであろう50〜59歳が1656人(8%)と最多。JINエルダの存在理由はここにもある。
訪問介護にあたるヘルパーは現在、6人。利用者によっては中国語、韓国語、英語での対応が可能だ。年内に10人にまで増やしていく。
働くお母さんや介護で子育てに手が回らないという女性には、子どもたちが一人で学ぶ力を身につけられるよう専門の人材を派遣する「学び舎」も運営している。対象は小学校1〜3年生まで。科目は英語、国語、算数、「スポーツ」。
月4回の派遣で授業料は3500〜5250円ほど。生徒は延べ13人でいまのところ「持ち出し」だが、鄭代表理事は「地域に根を張って、住民からの信頼を獲得していくための先行投資」と割り切っているという。いずれ、ヘルパーが増えたときには、社員の福祉にも生かせそうだ。
JINエルダが軌道にのるとみている1,2年先には、24時間介護サービス付きの外国籍に特化した高齢者住宅を建設する計画だ。275坪の土地は特定非営利法人「NGO多文化共生労働センター・川口」の役員が提供してくれた。1階はデイサービスセンター、2階はワンルーム形式で20部屋を設けることにした。総工費は2億5000万〜3億円を想定している。
この後、多文化型の有料老人ホームを建設するのが最終的な目標だ。鄭代表理事は、「足下を固めながら、一歩ずつ進んでいきたい」と話している。
特定非営利法人JIN愛育センターは11年、外国籍住民と共に生きるまちづくりをめざして川口市内で発足した特定非営利法人「NGO多文化共生労働センター・川口」(峰久節子理事長、鄭錦伊事務局長)が母体となっている。外国籍高齢者の介護支援は同センターの掲げる事業目標の一つだった。
(2013.10.9 民団新聞)