来春、東京で上映予定
北韓の价川14号政治犯収容所での実態を被害者自ら語り、管理の側にいた2人の証言で過酷な事実を裏付けたドキュメンタリー映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」(原題・Camp14,104分、写真はポスター)が来年3月、東京・渋谷の小劇場ユーロスペースで公開される。
現在は脱北して韓国で暮らす申東赫さんが主人公。申さんは生まれついてからの強制収容所暮らし。脱出するまでの23年間、鉄条網の向こうに別の世界が広がっているなんて思いもしなかったという。そんな申さんからマルク・ヴィーゼ監督(ドイツ)がカメラを回しながら、囚われの生活や拷問、母親や兄の死について忍耐強く話を引き出している。
撮影は困難を極めたという。精神に深い傷を負った申さんにとっては、カメラの前で事実を話すことは心の中の古傷をえぐられるに等しい。撮影中、記憶の中に奥深く分け入ろうとするヴィーゼ監督に、申さんは「マーク、2回も話せない。とても辛い」「止めて、もう話せない、これ以上続けられない」と叫んだため、撮影はたびたび中断を余儀なくされたという。
対照的に同じ脱北者でも元収容所の警備員は、どのようにして人を虐待・虐殺したのかを「1人称であけすけに」語ったという。さらに、元高官の加害者からも証言を得た。映画では収容所の実態を描くため、アニメーションも取り入れている。
映画の最後で申さんは、「収容所に帰りたい」と告白する。地獄から逃げてきたのにまたその地獄に戻りたいというのだ。ヴィーゼ監督は、「これが収容所の囚人だけについての映画だとは思っていない。むしろ、独裁政権により生き方を定められた3人についての映画だと思っている」と話す。
韓国・ドイツ合作。ジュネーブ人権映画祭最優秀映画賞、オスロ・ヨーロッパドキュメンタリー最優秀映画賞、IFFブカレスト最優秀政治映画賞ほか受賞。東京の後、大阪シネヌーヴォ、名古屋シネマスコーレでも順次公開の予定。民団後援。
問い合わせは配給のパンドラ(℡03・3555・3987)。
(2013.12.25 民団新聞)