韓日修交50周年控え
李丙駐日大使は16日、早稲田大学で開かれた韓国学研究所開設記念シンポジウム「東アジアの変動と日韓関係の未来」で祝辞を述べ、「韓日両国は約1年半後には国交正常化50周年という重要な節目を迎える。半世紀にわたる協力と葛藤を繰り返してきた歴史を超えて、共生と協力の新しい時代を準備しなければならない」と強調した。
李大使は「現在、東アジア諸国の間で経済的相互依存性が深まり、人的交流が日増しに拡大している。それにもかかわらず過去の歴史認識問題などによって、政治・安保分野での協力が遅れをとったり、その流れを阻害するという、アジア・パラドックス問題が深刻化している」と指摘、「自由民主主義、市場経済など普遍的価値を共有する韓日が戦略的パートナーシップを強化し、アジア・パラドックスの解消に向けてともに努力する必要がある」と主張した。
さらに、両国の戦略的パートナーシップ強化には「歴史認識に対する配慮」が重要だとし、「村山談話(95年)と河野談話(93年)は日本政府が難しい決断を下したものであり、隣国と世界に向けた約束のメッセージだ。両談話に基づき、韓日両国の信頼を積み上げていくことが、両国における新たな外交関係の出発点だ」と表明した。
李大使は「両国の若い世代が明るい未来に向けて共に手を携えて進めるよう、難しい問題に対してはけじめをつけ、新しい協力のビジョンを提示することが、我々の世代に課せられた課題」だとし、「他人と過去は変えることができなくとも、自分自身と未来は変えることができるという言葉がある。50周年の2015年が韓日関係の未来を新しく書き換えていく契機になることを願ってやまない」と結んだ。
李大使に先立ち祝辞を述べた河野洋平・元衆議院議長(「河野談話」発表者)は、現在の硬直した韓日関係について「国民同士の理解が重要」と述べ、「両国関係をしっかりと打開できなければ、経済的な損失が発生するという見方もあるし、また両国関係は安全保障面で重要という見方もある。しかし日韓関係で最も重要なことは、すなわち人間と人間による理解だ」と力説した。
シンポジウムでは同研究所の李鍾元所長の司会でパネルディスカッションが行われ、兪弘濬・元韓国文化財庁長(明知大学教授)、五百旗頭真・熊本県立大学理事長(前防衛大学校長)、中沢けい・作家(法政大学教授、K‐BOOK振興会会長)、若宮啓文・日本国際交流センター・シニアフェロー(前朝日新聞主筆)、毛里和子・早稲田大学名誉教授(新しい日中関係を考える研究者の会代表幹事)が「東アジアを創る日韓関係」について討論した。
(2013.12.25 民団新聞)