掲載日 : [2017-09-13] 照会数 : 5983
「二・八独立宣言」100周年へ…在日韓国YMCA「2・8研究会」スタート
[ 青年会が82年、学生会、青商連と合同で建立した記念碑(在日韓国YMCA) ]
[ 二・八独立宣言を宣布した旧東京朝鮮YMCA会館 ]
日本の植民地統治下にあった韓国から日本に留学していた学生たちが東京朝鮮YMCA会館で歴史的な「二・八独立宣言」を宣布(1919年2月8日)してから間もなく100周年を迎える。東京朝鮮YMCA会館ゆかりの在日本韓国YMCA(李清吉理事長・金秀男総務、東京・千代田区猿楽町)は二・八独立宣言の歴史的・現代的な意義に再照明をあてようと「2・8研究会」(李省展座長)をスタートさせた。
歴史・現代史的意義を再照明
「2・8研究会」は内外の研究者を招いて6日、在日本韓国YMCAで第1回公開セミナーを開催。京都大学人文科学研究所助教の小野容照さん(朝鮮近代史)が「二・八独立宣言の再照明と朝鮮人留学生研究の現状」と題して報告した。
小野さんは三・一独立運動時の「乙末独立宣言書」が朝鮮語だけで執筆されたのに対し、「二・八独立宣言書」は朝鮮語と日本語のほか、英語でも書かれたことで世界に広く流通した可能性を指摘。「英語圏でどう読まれたか。これを研究すれば二・八独立宣言の意義を再照明する可能性がある」と述べた。
内容にも注目。「四千三百年の長久たる歴史を有する吾族は実に世界最古の文明民族の一つ」と「民主主義の上に先進国の範を取りて新国家を建設せば(中略)必ずや世界の平和と人類の文化とに貢献するところならん」に独立を希求する留学生の緻密な戦略性を見いだし、「三・一には見られない独自の要素がある」と指摘した。
公開セミナーは2018年11月まで2カ月に1回のペースで開催していく。次回は11月1日19時から。明治学院大学の徐正敏教授が「日韓キリスト教史から見た2・8、3・1独立運動」と題して報告する。
同研究会は来年、米ミネソタ大学所蔵のYMCAアーカイブを使った資料調査を行い、100周年を迎える19年には東京、大阪とソウルで大がかりな国際シンポジウムを予定している。公開セミナーとシンポジウムの成果は同年8月をメドに「記念論集」として発行していく。記念式典は2月8日、在日韓国YMCAで。
二・八宣言とは
日本の植民地統治下にあった韓半島から日本に留学していた学生約600人が1919年2月8日、学友会総会を名目に東京朝鮮YMCA会館に集まり、民族の自主独立を宣布した。学友会の白南奎会長や独立宣言書を読み上げた白寛洙をはじめとして中心メンバー27人はその場で内乱罪容疑で逮捕されたが、敵国の首都での命をかけた自発的な決起は本国の3・1独立宣言の署名者たちにも伝わり、大きな刺激を与えた。
(2017.9.13 民団新聞)