掲載日 : [2018-04-11] 照会数 : 6063
韓半島非核化への道…韓日の専門家が討論・早稲田大で
[ 李鍾元さんが司会を務めたパネルディスカッション ]
首脳会談成功を期待
国際シンポジウム「朝鮮半島の核危機‐対話による解決は可能か」が3月31日、東京の早稲田大学国際会議場井深大記念ホールで開かれた。南北首脳会談と北米(米朝)首脳会談を前に関心は高く、420人収容の会場が事前の予約だけで満員に。早稲田大学韓国学研究所と東京大学韓国学研究センター、岩波書店の3者による共催。
シンポの焦点は韓半島の非核化と恒久的な平和体制の構築。李洙勲駐日大使は祝辞で、圧力一辺倒の日本に対話局面への賛同を呼びかけ、互いに協力しあおうと呼びかけた。
韓国大統領の統一外交安保特別補佐官を務める文正仁さん(延世大学名誉特任教授)が、「一学者の立場から」とことわって文政権の対北政策について基調講演を行った。
韓国の基本的な立ち位置は「核のない平和な韓半島」だと強調。核武装には反対。米国が韓国の同意のないまま軍事行動に出るのも反対だ。
こうした韓国の姿勢に日本から「北に対話ばかり」と融和姿勢を批判する声が聞こえるが、これは「間違った認識」と語気を強めた。制裁と圧力は続けており、軍事的な挑発には軍事的な抑制を図るのが戦略の柱。国防予算も増強しており「国防に手抜き」は誤った見方だと否定した。
南北会談と北米会談では「包括的な一括妥結以外ない」と原則論を述べた。ただし、一括でやろうとするとうまくいかないであろうことも考えられる。文さんは「原則は一括だが、時間もかかるだろう。現実的に対処していく努力が必要」と柔軟な姿勢を求めた。
最後に「北米会談は不明だが、南北会談の成功には自信がある」と言い切り、会談の成功へ日本側にも努力を求めた。講演の司会を務めた木宮正史さん(東京大学韓国学研究センター長)は「平和のリアリズム」と感想を述べた。
李鍾元さん(右)が司会を務めたパネルディスカッション
後半のパネルディスカッションでは李鍾元さんを司会に韓日の専門家が南北、北米首脳会談が「成功」する条件と日本の外交について語った。北米会談の見通しについては「成功」「失敗」で意見が分かれた。小此木政夫さん(慶応大学名誉教授)は「失敗のリスクも大きい」と言いながら、北韓が生き残りをかけて大胆に譲歩してくる可能性に期待感を示した。
井上智太郎さん(共同通信外信部次長)は「北米会談で成功があるとすれば、北がICBM(大陸間弾道ミサイル)の放棄または開発中断を表明し、トランプ大統領が受け入れてしまう場合だろう。トランプ大統領が席を蹴ってまで軍事行動に出るという可能性は低い。しかし、韓半島の緊張緩和という課題は残る。平和体制構築へどういう仕掛けをつくるかが大切になる」と語った。
同じく平井久志さん(共同通信客員論説委員)は「米国が即時の核放棄を迫れば、核を手放したくない北韓は段階論を言うだろう。トランプ大統領のアバウト路線に期待したい」と述べた。
一方、金錬鐵さん(仁済大学統一学部教授)は「南北の首脳間でホットラインを開設することで合意した。ホットラインの持つ意味も重要だ。日常的なコミュニケーションで北韓を説得できる。韓国戦争の終結宣言は重要」と強調した。
文さんは日本に米国一辺倒ではない主導的な外交を望んだ。「日本が北韓を普通の国として認めれば、北韓も普通の国として行動するしかない。国際社会は韓半島の非核化と平和安定を望んでいる」。
(2018.04.11 民団新聞)