掲載日 : [2004-06-09] 照会数 : 3006
世帯収入「保護基準」以下が6割 生野区の同胞高齢者(04.6.9)
無年金の現状反映…同胞市民団体が300人を調査
【大阪】大阪市生野区在住の在日韓国人高齢者世帯の約6割は生活保護基準以下の低所得状態に置かれていることが、同胞市民団体などの実態調査で明らかになった。これは制度的無年金という厳しい現実をそのまま反映したものといえよう。このうえ、識字が困難なため弱者救済のためにある公的福祉サービスも十分に浸透していない現実も浮かび上がった。
調査は大阪市から委託を受けたNPO法人「在日コリアン高齢者福祉をすすめる会大阪」(宋貞智理事長)が昨年9月から12月にかけて大阪府立大学社会福祉学部と共同で行ったもの。
調査結果の概要は5月30、31日の両日、兵庫県飾磨郡にある大阪市立塩楽荘で行われた研修会で同大教員が報告した。関西地区の各民団本・支部のほか行政からも関係者多数が参加した。
回答によれば無年金者は全体の72%を占めた。たとえ、厚生年金や遺族年金を受給していてもその金額は5万円前後で、日本人の3分の1程度でしかなかった。
主な収入源は回答者の42%が子どもたちからの援助だった。次に多かったのが在日外国人給付金で21・7%。それでも全体の約2割は世帯収入が5万円を切っており、5万円から10万円未満との回答も27%を占めた。全体では59・1%が生活保護基準以下の収入にもかかわらず、生活保護の申請はしていなかった。
これは口コミで保護をもらったと伝わるのを嫌うことや、世間体を慮った子どもたちから反対されるなど様々な要因が重なったとみられる。
福祉サービス情報とも疎遠
生活が苦しくとも福祉サービスが行き届いていれば、一定の健康と生きがいは得られる。だが、日本の福祉サービスの基本は申請主義。在日同胞高齢者の多くは識字が困難なため、申請に必要な基礎情報を得にくい構図がある。これは加齢とともに顕著になっていく。
今回の調査でも、独り暮らしのお年寄りに限れば、その7割は日本語の解読になんらかの支障が見られ、年齢別では85歳以上で6割が「日本語も韓国語も読めない」と答えた。市の広報媒体などを通して情報を入手できると答えたのは回答者全体の25・3%どまり。半数は同居家族、ないしは近隣の友人や知人、ヘルパーから間接的に情報を得ていた。
今回の調査結果を分析した大阪府立大学の中村徹教授は「民生委員や社会福祉協議会、自治会、NPO、生協・農協、ボランテイア、各種民間団体など地域社会の人々が協力して関係機関の連絡会を開催するなど情報交換の『場』を設け、『孤立した人々への見守り的な介入』を行うことが必要」と提言している。
調査の概要
民団大阪・生野西支部管内、70歳以上の高齢者団員家庭全世帯を対象とした。03年9月に560件の調査票を郵送し、同年12月までに300件の有効調査票を集めた。1世帯に複数の対象者がいるときは男女比を考慮、どちらか一方を採用した。主な調査項目は収入源と暮らし向き、識字状況、介護保険と福祉サービスの利用状況、生きがいと社会参加など多岐にわたる。
(2004.6.9 民団新聞)