掲載日 : [2004-08-18] 照会数 : 3277
<サハリン郵便貯金>強制労働のツケ問う 宙に浮く59万口座(04.8.18)
残留韓国人 今秋にも提訴
国家総動員法にもとづきサハリンに強制的に連行され、苛酷な労働を強いられた韓国人の軍事郵便貯金問題の解決に向け、当事者が日本政府を相手取り今秋にも提訴する方向で準備を進めていることが分かった。この郵便貯金問題は韓国への永住帰国が進むなか、長らく日本政府の懸案の一つとなっていた。
サハリンに強制連行された韓国人労働者の多くは賃金・預貯金などを支給されていない。企業が強制的に貯金させたうえ通帳を保管し、敗戦後、未精算のまま日本に引き揚げたからだ。
軍事郵便貯金は郵政省の調べで97年3月現在で59万口座、元利金合計1億8700万円が現在も保管されていることがわかっている。ここには日本人の口座も含まれており、サハリン残留韓国人の郵便貯金口座は7万口程度と推算されている。原簿はサハリンに移された後、59年に焼却処分された。
郵政省は郵便貯金法で定めた4〜5倍の利率で支払うとの考えだ。しかし、台湾元軍人・軍属の郵便貯金に関しては現在の価値に換算した120倍による払い戻しで決着をみているだけに、当事者としては到底受け入れられないという。あわせて、通帳が現存していない例がほとんどのため、権利確認などの手続きも困難となっている。
提訴の際には弁護を引き受けると、かねてから明らかにしている高木健一弁護士は「現地では最低2000倍での払い戻しが妥当との声もある。120倍でも不満は残るところだが、現実的な解決策として未払いの総額を120倍した約200億円で基金を作り、サハリン残留韓国人社会全体で広く活用することが望まれる」と話している。
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文化センター着工 提起から10年ぶり
第2次大戦中、日本の国家総動員政策の犠牲となってサハリンに連行され、解放後も現地に取り残された韓国人のための「サハリン韓国文化センター」の建設工事が20日から始まる。
建設場所はロシア国ユジノサハリンスク市内。地上2階・地下1階の鉄骨造りで建面積は1100平方㍍、敷地面積は4213平方㍍。韓国語、ロシア語、日本語、英語の学べる学習センターと図書室、会議室、有料の宿泊施設を備える。
文化センターの建設はサハリンに永住する人たちに対する日本政府の「人道的支援」の一環。94年、当時の川島裕アジア局長が「検討中」と表明、98年に外務省が建設費用として5億円の予算を計上し韓日両赤十字社による「在サハリン韓国人支援共同事業体」に支出していた。
これまでに韓国への永住帰国を実現した約1700人に対しては、日本政府が32億円を拠出して00年2月、安山市内に500世帯が入居できるアパート「故郷の村」、99年3月にも仁川市内に100人収容の療養院を建てた。土地は韓国政府が提供した。
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サハリン残留韓国人
第2次対戦中、日本領樺太(サハリン)での労働力不足を補うため、日本が韓半島から多くの同胞を企業による集団募集などで徴用したのが始まり。
解放後、ソ連支配下のサハリンから40万人の日本人は帰還できたが、4万3000人の韓国人は日本人妻の同伴家族を除いてはその大半が残された。
超党派国会議員らの活動により80年代に日本で家族再会と韓国への一時帰国が実現、80年代後半からは永住帰国へと進展しているが、当時の郵便貯金の払い戻しは未解決のまま残されている。
(2004.8.18 民団新聞)