掲載日 : [2004-09-01] 照会数 : 3248
法と生活〈9〉 在外同胞向け最新法・制度(04.8.31)
(文責・民団中央民生局)
家族関係法
男女の区別なく親族は8寸まで
1.親族制度
イ.親族の範囲
親族の範囲は8寸(親等の意)以内の血族と4寸以内の姻戚そして配偶者である。過去には男女を差別して父方は8寸まで、母方は4寸までを親族とし、姻戚の場合は女子が婚姻をすれば、夫の父方で8寸、夫の母方では4寸までをすべてその女子と姻戚になった。一方、男子が婚姻した場合には義父・義母だけが姻戚となった。しかし現行民法では、男子と女子を区分せず8寸までの血族はすべて親族であり、姻戚関係でも男女の区別をなくした。
ロ.財産分割請求権
離婚時には、夫婦が婚姻後に共同で形成した財産に対し分割を請求できる。夫婦関係が円満なときには夫婦の財産が誰の名義になっているか別に問題にならないが、婚姻が解消されたときには夫婦の財産関係を清算・処理する必要がある。婚姻生活中に夫婦の一方の名義で取得した財産には配偶者が協力した功労も含まれるので、離婚の場合はその寄与分を配偶者に返還することが妥当であり財産分割請求制度を認めている。財産分割過程で協議がおこなわれない時には家庭裁判所で財産の額と財産形成に寄与した程度などを考慮して金額と方法を定める。
2.相続制度
イ.相続分
子女の場合、息子・娘の区別なく、結婚しているかどうかや年齢と関係なく相続分はまったく同じである。遺言がある場合には遺言が優先するが、遺言なく死亡した場合には、子女等の相続分は均等で、配偶者は子女相続分の1・5倍を相続する。嫁いだ娘も相続持ち分は同一である。
相続財産形成に特別に寄与したか、父母を特別に扶養した相続人は寄与分を追加して受けることができる。
外国人も相続が可能だが、相続した土地の継続保有には後で説明するように「外国人土地法」上制限がある。
ロ.遺言の方式
遺言は、民法が定める方式によらなければ効力がない。民法では遺言の方式として自筆証書、録音、公正証書、秘密証書、口述証書の5種類を規定している。遺言の方式により証人が必要な場合もあるが、未成年者、禁治産者と限定治産者、遺言によって利益を受ける者及びその配偶者と直系血族は証人になれない。
▼自筆証書による遺言
自筆証書による遺言は、遺言者がその全文と年月日、住所、姓名を自身が直接作成して捺印しなければならず、文字の挿入、削除または変更をする場合にも遺言者が直接記載して捺印しなければならない。
▼録音による遺言
録音による遺言は、遺言者が遺言の趣旨、姓名と年月日を口述し、これに参与した証人が遺言の正確さとその姓名を口述しなければならない。
▼公正証書による遺言
公正証書による遺言は、遺言者が証人2名が参与した公証人の面前で遺言の趣旨を述べ、公証人がそれを筆記朗読して遺言者と証人が正確なことを承認した後、各自署名または記名捺印しなければならない。
▼秘密証書による遺言
秘密証書による遺言は、遺言者が作成者の姓名を記入した証書を封筒に入れて封函部分に捺印し、それを2人以上の証人面前に提出、自らの遺言書であることを表示した後、その封筒表面に提出年月日を記載して遺言者と証人がそれぞれ署名または記名捺印しなければならない。この場合、遺言封筒はその表面に記載された日から5日以内に公証人または裁判所書記に提出して、その封印上に確定日付印を受けなければならない。
▼口述証書による遺言
口述証書による遺言は、疾病その他緊迫した事由によって、先に説明した方式によることができない場合に、遺言者が2人以上の証人がいる席で遺言の趣旨を述べ、これを聞いた証人が筆記朗読して遺言者と証人がその正確なことを確認した後、各自署名または記名捺印しなければならない。この方式による遺言は、その証人または利害関係人が急迫した事由が終了した日から7日以内に裁判所に検認を申請しなければならない。
ハ.相続財産の分割
被相続人は、遺言で相続財産の分割方法を定めたり、定めることを第3者に委託することができ、相続開始日から5年を超過しない期間内の分割を禁止することができる。
3.婚姻に関する国際私法
婚姻の成立要件は、各当事者に関してその本国法により、その方式は婚姻挙行地の法または当事者の一方の本国による。但し、大韓民国で婚姻を挙行する場合、当事者の一方が大韓民国の国民である時には大韓民国の法によることになっている。婚姻の効力は①夫婦の同一本国法②夫婦の同一居住地法③夫婦と最も密接な関連がある所の法の順位による。
夫婦財産制は、原則的に婚姻に関する規定を準用している。但し、夫婦が日付と夫婦の記名捺印または署名がある書面で作成し、①夫婦中一方が有する国籍の法②夫婦一方の居住地法③不動産に関する夫婦財産制については、その不動産の所在地法のうちどれを選択するか合意がある場合には、その合意によって行う。離婚は原則的に婚姻に関する規定を準用する。但し、夫婦の一方が大韓民国に居住地のある大韓民国国民の場合、離婚は大韓民国の法による。
4.相続に関する国際私法
相続に関する準拠法は、原則的に死亡当時の被相続人の本国法による。但し、被相続人の遺言に適用される方式によって明示的に①指定当時、被相続人の居住地がある国家の法(但し、その指定は被相続人が死亡時まで、その国家に居住地を維持した場合に限り効力がある)②不動産に関する相続については、その不動産の所在地法のうちどれかを指定する時にはその法による。従って、誰が相続人になるか、相続人らの相続分がどのくらいになるか、相続放棄を行うことができるか等に関して、すべて相続に関する準拠法が適用される。
5.在外国民に対する離婚関係特則
イ.在外国民の協議離婚手続き
当事者双方または一方が、その居住地を管轄する在外公館の長に協議離婚意思の確認を申請する。万一、管轄在外公館がなければ隣接在外公館に申請できる。
在外公館長は、当事者双方に離婚意思の存否及び未成年の子女がいる場合にその子女に対する親権行使者の指定可否を確認し、その要旨を記載した書面(「陳述要旨書」という)を作成して申請書に添付、ソウル家庭裁判所に送付する。
ソウル家庭裁判所は在外公館長が作成した陳述要旨書により離婚意思の存否を確認することができる。但し、一方が在外国民の場合、国内に居住する当事者を出席させ離婚意思の存否を確認しなけらばならない。それに基づき確認書謄本を在外公館長に送付すれば、在外公館長は当事者にそれを交付または送達する。当事者の一方または双方が確認書謄本が添付された離婚申告書を提出すれば離婚となる。
(【訳者補足】韓国民法、戸籍法施行規則が改正〈03年9月17日〉され、今年9月20日から、日本の市町村役場発行の離婚届受理証明書は認めなくなる。また、駐在韓国大使館または領事館に、離婚しようとする当事者双方が出頭しなければ、離婚申請ができません。)
①陳述要旨書2通②戸籍謄本2通③離婚申告書4通④当事者双方の在外国民登録簿謄本各2通⑤当事者双方の身分証明書⑥当事者双方の印鑑(韓国名)が必要です。
ロ.在外国民の裁判上離婚手続き
▼外国裁判所の離婚判決
外国裁判所の判決が民事訴訟法第203条の要件を具備すべきで、その内容は次の通り。
①法令、条約で外国裁判所の判決を否認しない②敗訴した被告が公示送達によらず、訴訟の開始に必要な召還または命令の送達を受けたりした③相互保証がある
▼国内裁判所の離婚判決
公示送達による外国判決は国内では執行力がないので国内で離婚訴訟を提起しなければならない。従って、国内に居所を定め居住地管轄裁判所に訴訟を提起しなければならず、公示送達は外国公館を通じて所在を確認する。
(2004.8.31 民団新聞)