掲載日 : [2004-09-08] 照会数 : 5327
在日の人権、大法廷へ 都庁任用差別訴訟(04.9.8)
[ 鄭香均さん ]
国籍要件で初判断…最高裁
都から管理職試験の受験を拒否された在日同胞の保健師、鄭香均さん(54)が200万円の慰謝料などを求めていた訴訟で最高裁第3小法廷は1日、審理を大法廷(裁判長・町田顕長官)に回付すると関係者に通知した。在日同胞の人権をめぐって最高裁で大法廷が開かれるのは初めて。
12月15日が目安に
関係者によれば、現時点で最高裁が必ずしも大法廷を開くと決めたわけではない。原告勝訴の判断を下した高裁判決を維持するならば、大法廷を開くこともなく、何の前触れもなしに判決が出される。
逆に大法廷を開くときは原判決を見直すときが多いという。しかし、これも大法廷の慣行にしかすぎないという。最高裁が大法廷を開くとすれば、12月15日午後2時を仮の目安としている。
もし、鄭さんが全面勝訴すれば、地方公務員国籍要件流れは全国に広がるだろう。国籍を理由とした排除そのものが憲法違反に問われることになるからだ。教育公務員でも常勤講師ではなく、教諭採用への道が開かれる可能性が高い。民団の地方参政権獲得運動にも追い風になる。
逆に敗訴となれば、その判例が「形を変えた国籍条項」となり、これまで在日外国人の公務員採用問題で長年、コツコツ積み上げてきた成果さえ突き崩されかねない。現職の同胞公務員の地位にも影響が出るのではと心配されている。
どのような判決が出るとみられているのか。弁護団の見解は分かれている。
金敬得弁護士は「二審判決を根本から覆すような判決は出ないだろう」と期待を寄せている。せいぜい都に賠償を命じた40万円の賠償金の支払いを見直すぐらいだろうとの見方だ。高裁での勝訴判決が、在日同胞の地方参政権を憲法で認めた95年2月の最高裁第3小法廷判決に依拠しているとみられるからだ。「この論理を覆すのは、容易ではない」。
もし、賠償部分の見直しだけなら「かすり傷」程度で済む。だが、新美隆弁護士は「なぜ大法廷を開くのかと考えると、安穏としていられない」と語る。「97年に高裁判決が出てから7年が経った。9月28日の口頭弁論を前に都の上告理由書に対する答弁書を出そうとした矢先に期日を取り消し、大法廷に回付するという。見苦しいし、非計画的審理としかいいようがない」と憤りを隠さない。
一般的に大法廷への回付は①憲法判断や判例変更を行う場合②小法廷の意見が同数に分かれた場合③重要な法令判断を行うときとされる。新美弁護士が恐れているのは最近のナショナリズムの高まりだ。最悪の場合、日本の国益論に立った政治的判断が示されることもありうるという。
これから15人の判事がどのような判断を示すのか。多数派の見解が判決の流れを決める。
(2004.9.8 民団新聞)