掲載日 : [2005-02-02] 照会数 : 5295
韓日の認識差縮めたい 「ソンビとサムライ」日本語版刊行(05.2.2)

著者・朴承武公使に聞く
情緒面には共通項
植民地時代の反省カギ
韓日間の認識の隔たりを縮める一助にしたいと、日本での体験を通して両国の実態をまとめた著作「ソンビとサムライ」(東海教育研究所)が、このほど刊行された。著者の駐日韓国大使館・朴承武公使(57)が外交官として、日本に初めて赴任した77年から現在まで通算11年におよぶ日本滞在中に体験した事柄をまとめた。03年に韓国で出版後、日本語版として加筆した。
滞日11年ふまえて
タイトルの「ソンビとサムライ」は、韓国人と日本人の考え方の隔たりを比較する意味から、韓国で学識と品格を持った人に対する尊称のソンビの思想と日本人の道徳心をつかさどる武士道精神からつけられた。
本書は日常生活から歴史、宗教観まで幅広い項目にわたって、両国民の相違点や共通点、またお互いの国をどのような視点でとらえているかについて紹介している。
興味深いのは、韓国人の日本人に対する感情と、日本人の韓国人に対する感情だ。日本人はかつての蔑視感を引きずっているのに対し、日本の植民地時代に苦痛を味わった韓国人は、時が経っても深い傷として残ってはいても、日本人が過去の歴史を心から反省するという姿勢に期待感を持っている。しかし、その期待感がはずれると強い失望に変わると指摘する。
多彩な交流の歴史
朴公使は77年、初の日本赴任となった大阪の韓国総領事館の副領事の勤務を皮切りに、横浜、東京、広島を経て、03年8月、再び渡日した。
この間の日本滞在で、韓日関係が当時と比べて大きく変化したと実感している。日本で爆発的な人気を得た韓国ドラマの「冬のソナタ」現象が、韓国と日本にシグナルを送っていると指摘する。 「両国の歴史では200年におよぶ朝鮮通信使の交流があった。多彩な交流を行ってきた韓日間で歴史的、文化的に持っていた共通の情緒を、冬ソナ現象で再認識したと思う。お互いが仲良くなるためには、この情緒を理解して共通の輪を広げていくことが必要だ」。
韓流によって日本人が韓国に対する親近感を深めたと話す。一方で日本人の差別意識から発生する人権問題についても言及する。もともと、外交部入部から、在日韓国人の法的地位問題を専攻してきた。最初の赴任先の大阪では、在日同胞が抱えている様々な問題や日本の部落差別があるのを知り、ショックを受けたという。
「日本の部落問題と在日同胞の問題は異なる問題だけど、大きくみると人権問題につながる。でもそれは外からは分からない。人々の頭の中にある固定観念や先入観、差別感、偏見も最近、よくなってきたと思うが、こういう考え方があることを韓国の人々にも紹介したかった」。
なお残る差別状況
在日韓国人と関わりの深い朴公使は、本書第6章で、現在直面している地方参政権問題や民団がこの間行ってきた差別撤廃運動などに対する思いを綴っていて、関心が深い。
在日韓国人2世の保健師、鄭香均さんが管理職任用の差別で訴えた先月26日の最高裁判決に触れ、「在日韓国人がどういう背景で日本に住むことになったか、どうして法的闘争を行わなければならなかったかを日本側は真剣に考えるべきだ。在日は日本に永住しながら、社会的な貢献もしている。日本社会の構成員の一員として日本人も正しく評価してほしい」と思いを語った。
在日韓国人は法的差別に加え、偏見などの社会的差別のなかで、今も闘っている。その状況に顔を曇らす朴公使だが、在日韓国人に対する期待は大きい。
「在日同胞は韓日関係のプリズム的な存在。これが美しく輝くとき、未来の韓日の友情、交流が始まる。韓国と日本の橋渡し、両国の友好関係をつなぐ大切な役割を果たしてくれることを期待している」。
(2005.2.2 民団新聞)