掲載日 : [2005-05-18] 照会数 : 5531
韓国の労使協調姿勢広がる(05.05.18)
[ 昨年、LGカルテックス精油では労組が全面ストを行ったが、その後、民主労総からも脱退し会社側と「共存」する姿勢に転換。写真はスト後に復帰した社員
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競争力向上へ一丸…賃金凍結や成果給導入
韓国の企業内に労使協調の風が吹いている。労使紛争の激しいことで有名だったLG電子や大韓航空(KAL)の労働組合が基本給の凍結、成果給の拡大など会社側に歩み寄りを見せた。こうした動きは、強硬な労使闘争が労働者の益にならず〞共倒れ〟にしかならないという教訓を得た結果だ。「企業の競争力をアップしてこそ待遇改善される」という路線はさらに拡大しそうで、在日企業も進出しやすくなる。
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在日企業も歓迎
7300人の組合員を擁するLG電子労組は2月初め、「基本給の凍結、実績に伴う成果給の拡大」を骨子とする会社との賃金交渉案にサインをし、その大変身ぶりに注目を集めた。労組事務所内に張られたポスターも、過激な闘争標語ではなく、「1等LGをつくろう」に変わった。
変身したきっかけは、労組幹部らの中国視察であった。LG電子の現地生産法人や大手百貨店などを視察しながら、中国の労働者たちが受け取る賃金はLGの15%ほどなのに、生産性は韓国の85〜95%に迫る水準であったことにショックを受けたという。
中国の家電製品が品質面では韓国製に劣らないが、価格は半分にすぎない。このままでは中国にどんどん工場がシフトされ、働く場を失っていく。そこで、労組みずからが高付加価値の新産業を創出してこそ、仕事が保障されると判断した。労組の献身的な努力に対して会社が十分に保障してくれることを信じて、路線転換したのだ。
KALの労組は最近の原油高騰のため非常経営は避けられないと判断し、会社の危機克服に積極的に協力する方針を決めた。昨年の賃金闘争で操縦士のストを決議したのに対し、ライバル社のアシアナ航空労組がストを否決し会社に協力したいきさつがある。機長の年俸が上昇するにつれ、会社の赤字額もふくらんだ。この苦い体験を教訓にし、路線転換して会社に全面協力した。
これまで強硬姿勢を貫いてきた労組に相次いで変化が生じ、「闘争」から「共存」に移行するところが増えている。会社側もこのような労組の積極的な協力に呼応し、それまでの厳しい姿勢を転換しはじめた。昨年、労組員の大量懲戒と解雇を行ったLGカルテックス精油は基本給の300%を激励金として支払った。POSCOと大宇造船海洋も経営改革に労組員の意見を積極的に取り入れている。
韓国の労働組合の全国組織は、全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)の2大勢力があり、競争のため過激さを助長することが多かった。ところが、就職推薦権などいくつかの金銭疑惑が労総内で発覚しマスコミが大きく取り上げたことから、労働運動にも影を落とすことになった。現代重工業とLGカルテックス精油の労組が昨年、民主労総から脱退したのをはじめ、労組そのものが弱体化している。
在日韓国人本国投資協会(郭正昭会長)の関係者は「労使協調の動きは歓迎したい。在日同胞の投資家らもこれまで労総内の一部の過激派に手を焼いていたが、慣行的不条理が発覚し、政府やマスコミも厳しく批判しているので過激な行為は自制せざるをえなくなった。韓国の労働運動も成熟段階に移行する過渡期にあるのではないか」と指摘する。
(2005.05.18 民団新聞)