掲載日 : [2005-08-31] 照会数 : 5714
読書…Books
[ 在日韓国・朝鮮人と人権 ]
[ (右)暮らしの韓国語単語8800、(左)帰国運動とは何だったのか ]
在日韓国・朝鮮人と人権…在日への理解促す対談集
大沼保昭・徐龍達編
有斐閣 1800円+税 ℡03(3264)1314
本書が初めて出版されたのは86年。当時、在日同胞社会の最大の懸案は、外国人登録法の指紋押捺と登録証の常時携帯制度の廃止であった。在日の問題と言えばまだ、即座に差別という言葉が連想される時代だった。
あれから約20年が経過した。指紋制度は粘り強い運動と高まる人権意識を背景に撤廃された。また、ソウル五輪や韓日両国が共催したサッカーW杯の成功によって対韓イメージは大いに好転し、空前の韓流が日本を席巻するまでになった。
しかし、このような時代の流れを反映して日本人一般の在日同胞に対する関心や理解が深まったか、日本の閉鎖性が改善されたかと言えば、そうは簡単に問屋がおろさないのが実情だ。
本書は在日問題の基礎から増加一方の定住外国人の処遇問題を主テーマに、各分野で精力的な働きをしてきた韓日の学者や市民運動家らの現場の声を全編対談・座談形式にまとめ、在日理解の入門書としてわかりやすく編集してある。先駆者らの闘いがあればこそ、今の在日の地位があるのだということを思い知らされた。
今は亡き金達寿、旗田巍の両氏が語る古代からの日朝関係史は、皇国史観に貫かれた歪曲教科書を今の時代によみがえらせた連中にも熟読を薦めたい。
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帰国運動とは何だったのか…悲劇の源探る渾身の研究
高崎宗司・朴正鎮編著
平凡社 3400円+税 ℡03(3818)0742
ある者は北韓が「地上の楽園」であるという宣伝文句を純粋に信じ、ある者は社会主義国家を建設するために北に渡っていった。日本人妻も未知の世界に飛び立った。将来に希望を見いだせない当時の日本社会の厳しい差別と泥沼のような貧困が拍車をかけたのは言うまでもない。
1959年に始まった「北送事業」は、在日60万同胞のうち、9万余を民族移動させた大事件である。韓国戦争で対峙した民団と総連の間に、再び緊張が走った事件でもあった。民団でいう「北送」は、総連では「帰国事業」と呼ぶ。 しかし、ほとんどの者が38度線以南の現在の韓国出身者という事実に加え、日本生まれの2世からすれば、「帰国事業」というよりも、「移民事業」という方が、適切だと本書は言う。
また、北の労働力不足を補うための策動との見方に対しては、「帰国者」は当初、18歳以下、55歳以上が主であり、北当局は労働力には期待していなかったと証言などを使って解説する。一番のポイントは、北の社会主義体制が南の資本主義体制よりも優れていると内外に証明することにあったというのである。
「帰国」を奨励した総連をはじめ、日本の赤十字、政党、マスコミの自己総括不在を批判しつつ、在日を苦境に追い込んだ作為にメスを入れた一級の研究書。
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暮らしの韓国語単語8800…あなたの語彙ふやします
今井久美雄著
語研 2600円+税 ℡03(3291)3986
謳い文句に「身のまわりの韓国語」とある。それにしても、その数8800単語とは驚きである。著者の丹念な仕事ぶりが、目に浮かぶようである。
単語を使った簡単な例文も紹介されているので、これらを習得すれば、韓国語能力検定試験も怖くない。今日から韓国生活を始めても困らないと言っても過言ではないだろう。ビジネスにも活かせるかもしれない。
ジャンルは衣食住をはじめ、経済、社会、芸術など24に細かく分類されている。興味のある分野から読み進めていけばいい。漢字語も多いので、日本語文化圏の読者は、漢字の読み方さえ押さえれば、語彙(ボキャブラリー)がどんどん増えていくこと請け合いだ。思ったよりも韓国語は簡単だ、と自信もついてくる。
そのほか、時事用語やことわざなど、韓国人とのコミュニケーションの潤滑油になる言葉も満載している。巻末には韓国生活に役立つマメ知識もある。
受験生向きの実用書という趣だが、韓国好きには、かゆいところに手が届く緻密さがたまらない魅力に映るだろう。ネイティブでなければすぐにはわからない外来語の掲載も大いに役立つはずだ。
言葉の習得が、より広い見聞をもたらす。「百聞は一見にしかず」のつもりで、手にしてほしい。
(2005.08.31 民団新聞)