掲載日 : [2010-07-14] 照会数 : 4072
「当然の法理」を問う 鄭香均さんが横浜国大で講義
[ 特別講義を行う鄭香均さん ]
【神奈川】東京都の保健師として管理職就任を認めない「当然の法理」の不当性を問い続けてきた鄭香均さんが5日、横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大学で約90分の「特別講義」を行った。同教育人間科学部の加藤千香子教授が、「差異と共生」の授業枠の中で招請した。
鄭さんは看護3職から国籍要件が外された88年、都の保健師として採用された。外国籍としては当時、第1号だった。その後、上司から管理職受験を勧められながら、日本国籍がないことを理由に拒否され、裁判に訴えた。
最高裁での敗訴について、鄭さんは「日本には正義がない。日本の民主主義が問われている」「当然の法理は日本国籍保持者全体に係わる問題」だと諭した。他人の苦労話とばかり思っていた学生の中には、予想外だったのか、一部で戸惑いと反発も見られた。
一方で、「日本人ならば日本の法に従うのは当然だと思っていましたが、ふだん、法を意識していない私は、知らず知らずのうちに法に縛られすぎているのではないか」と肯定的に受け止める意見も目立った。
加藤教授は、「公務員は公権力であり、それに従うのは当然だとしてきたいまの学生世代には、えっ自分? なに、どうして? という感じでしょうね。こうした揺さぶりこそが必要」と確かな手応えを感じていた。
(2010.7.14 民団新聞)