掲載日 : [2015-06-24] 照会数 : 5238
聴覚障害者縁結び…同胞2世が結婚相談所開設
[ パソコンで作業する金玉子さん ]
【兵庫】聴覚障害者を対象とした全国的にも珍しい結婚相談所「Deaf(デフ)キューピット」(耳の不自由な人たちの恋のつなぎ役)が神戸市須磨区にある。在日2世の金玉子さん(62、介護ヘルパー)が、「障害をもって生まれても、人として幸せをつかむ権利は、みんな平等にある。少しでも応援したい」と自宅に開設した。10月で5年目を迎える。
2人育てた経験生かす
金さん自身、聴覚障害を持つ姉弟を苦労して育てた経験の持ち主。一時は「なぜ、私にこんなにも辛いことが」と落ち込んだ。だが、金さんは負けてはいられなかった。自ら発声・発音の訓練施設に通い、試行錯誤しながら言葉を教えた。このため、2人とも耳は聞こえなくても話せるようになった。
長女(36)が成人を過ぎたころのこと。良縁を求めて大阪市内の結婚相談所を訪れたところ、障害を理由に会員登録を拒まれた。金さんは「障害者はただでさえ差別を受けることが多いのに、結婚という場面でも辛い思いをしなければならないのか」とショックを受けたという。
後で耳の不自由な人の出会いの場は、障害者が多く集まるサークル活動や、障害者団体の主催する交流会が中心と知った。「同じ悩みを抱えている障害者がたくさんいるのではないか。ハンディキャップのある人が、結婚への勇気を持てるよう応援していきたい」と相談所の開設を決意した。
高齢者向けの結婚相談所に見学を頼み込み、約4年間、運営方法を研究した。長女から「若い世代はネットやメールを活用している」と聞くと、パソコン教室にも通った。約1年がかりで初歩的な技術を取得。10年10月、念願の相談所ホームページを立ち上げた。会報も2カ月に1回のペースで出している。
現在、カップル1組が交際中。会員は随時募集中で、男女10人ずつ集まれば、パーティーも開いていく。金さんは「健常者どうしの結婚もなかなか難しいなか、障害者となるともっと門は狭くなる。会員一人ひとりが幸せをつかめるよう、力強くサポートしてあげたい」と話す。
会員は聴覚障害者であれば年齢、国籍は問わず。入会登録料2万円。月会費は男性3000円、女性2000円。問い合わせは金さん(TEL・FAXとも078・742・2920、携帯090・8366・8441)。http://deafcupid.web.fc2.com/。
(2015.6.24 民団新聞)