掲載日 : [2009-05-13] 照会数 : 9371
制度的無年金者の救済急ぐ 同胞高齢者・障害者
特別措置・増額を
各地民団 自治体への要望強化
在日同胞の現在83歳以上の高齢者、47歳以上の障害者は、本人の意思と関係なく国民年金制度から排除され、1982年1月の難民条約発効に伴う「国籍要件」撤廃後も救済措置が講じられず、無年金のまま放置されている。このため民団では、年金関係法の改正を日本政府・国会に強く求める一方で、暫定的救済措置がもっと多くの自治体で実施されるよう、またすでに実施している自治体に対しては法的解決策が講じられるまで、少しでも老齢福祉年金(無拠出)・障害基礎年金に近づけるよう特別給付金の増額等の要望活動を、各地方本部や支部単位でより積極化している。
関係法の改正も
「国籍要件」の撤廃に伴い公的年金制度に加入が義務付けられた在日(82年当時35歳未満)は、保険料によって日本人高齢者を支えながら無年金状態の親も養うという二重の負担を強いられている。在日無年金障害者の場合には、生活を支える高齢の家族もまた多くが無年金状態にある。
高齢化に伴い、毎年多くの同胞が無年金のまま、また特別給付金もなく亡くなっている。
民団は、このような状態を踏まえ各地自治体に対して、自己の責任によらず無年金とされている定住外国人高齢者および障害者への救済措置を早急に講じるよう、国および国会に働きかけてもらうとともに、暫定措置として自治体独自の特別給付金制度の採択・早期実施を強く要望してきた。
その結果、在日多住地を中心に、現在600以上の地方自治体が、独自の福祉手当として「高齢者特別給付金」や「障害者特別給付金」などを支給している。
だが、自治体での給付金支給は、年金関係法が改正されるまでの代替措置である。給付額も全国一律ではなく、まちまちだ。全国的には高齢者1万円前後、障害者2万円前後が多く、高齢者・障害者とも1万円以下の自治体もある。ちなみに日本国民高齢者に支給されている無拠出の老齢福祉年金は現在、月額約3万4000円。09年度の障害基礎年金(月額)は1級約8万2000円、2級約6万6000円である。
このため、全国知事会、全国市長会、全国都市国民年金協議会などでは、無年金外国人高齢者・障害者の早期救済のための関係法の改正等の要望を政府に対して毎年のように行っている。
たとえば昨年7月、全国都市国民年金協議会は「国民年金制度改善についての要望書」で、「現在独自の給付を行っている自治体もありますが、自治体独自で行う救済は年金とは異なるものであり、本来は国の施策として一律に措置されるべきものであります。ついては『特別障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律』(特別障害給付金支給法)附則並びに附帯決議にありますよう、早急に救済・改善措置を講じられるよう」にと、改めて促している。
なお、首都であり、再度の「五輪招致」を目指している東京都の場合、23区中、特別給付金制度を設けているのは13区にとどまり、その他の区では、いまだに救済措置を講じていない。東京都も救済へ動いていない。
(2009.5.13 民団新聞)