掲載日 : [2017-06-14] 照会数 : 7776
先人ゆかりの地探訪…民団東京と総領事館合同
[ 荒川河川敷近くの追悼碑に献花する右から李讃範総領事、金秀吉民団東京団長、梁点容貴金属協会会長(墨田区) ]
民団東京本部(金秀吉団長)は8日、都内における先人の足跡をたどる「在日韓国人歴史探訪」を行った。駐日韓国大使館主催の「在日同胞歴史講演会」とのタイアップ企画。民団と婦人会の本・支部幹部および総領事館と在日韓国人貴金属協会(梁点容会長)の関係者ら約80人が参加した。
関東大震災犠牲同胞追悼も
一行は2・8独立宣言ゆかりの在日韓国YMCA(千代田区猿楽町)を起点としてバスに乗り込んだ。まず、訪れたのは1923年の関東大震災時に同胞が虐殺され、埋葬された墨田区の旧四ツ木橋下手の荒川河川敷。現地で殉難者追悼事業を続けている一般社団法人ほうせんかの西崎雅夫理事から説明を受けた。
西崎理事は近隣の住民から「縛って並べた朝鮮人を軍隊が機関銃で撃ち殺した」との証言を得ている。婦人会東京本部の河貴明会長は「韓国人がどれだけ苦労して死んでいったのか、現場に来てみて初めて実感できた」と表情をこわばらせていた。
一行は近くの私有地に建つ追悼碑の前に赴き、全員で黙祷。代表して金団長と李讃範総領事、貴金属協会の梁会長の3人が献花した。民団東京本部の鄭文吉事務局長は「民団と総領事館が一同で追悼したのはこれが初めて」と意義を強調した。
一般社団法人ほうせんかの会員として追悼事業を支援してきた民団葛飾支部の申正意支団長は、「いいこと。非常にいいこと」と民団と総領事館関係者の来訪を喜んだ。同支部副団長の李徳和さんも「一生懸命やっている日本の人たちの励みになる」と語った。
一行は墨田区内の横網町公園でも関東大震災同胞犠牲者の追悼碑に献花。最後は港区の青山墓地にある朝鮮王朝時代の政治家、金玉均の墓に詣でた。民団杉並支部の金勇光常任顧問は「金玉均はクーデターに失敗し、頼りとした亡命先の日本で冷遇された。最後は上海で暗殺されるなんてあまりにも無念だったことだろう」と語った。
見学先としては新宿区百人町にあるロッテの創業工場跡地や江東区枝川の同胞集住地跡もあがっていた。この日は時間の関係で割愛されたが、「今後も支部単位で実施し、次世代に在日の歴史を伝えていこう」という声が聞かれた。
大使館主催で「歴史講演会」
終着地の大使館では都立高校で韓国語と社会科を教えている武井一さんが「東京と韓国‐古代から現代まで」、一般社団法人の西崎理事が「ほうせんかの歩み‐故絹田幸恵」と題して締めくくりの講演を行った。
(2017.6.14 民団新聞)