掲載日 : [2008-01-30] 照会数 : 9417
<MINDAN文化賞>鄭進中央本部団長あいさつ
予想上回る大きな成果
ご存じのように、「MINDAN文化賞」は、公募による多角的で本格的な文化コンテストをめざして、本団の中央民族教育委員会が主管を担い推進した文化事業です。 それは、在日に関する研究者や文化人を、国籍に関係なく発掘すると同時に、応募作品を通じて、在日同胞の歴史を現在から未来へと継承しようとする試みでした。
そうした意味から、論文部門では若い研究者たちの斬新な視点、かつ論理性に秀でた意見発表を望みましたし、詩歌部門では在日を取り巻く文化人たちに表現の機会を与えようと考えました。
また、写真部門では在日1世の苦難やたくましさがひと目でわかるような印象的な古い写真が集まることを願い、孝道部門では親子や祖先との絆や温かい思いが描かれた作文が、数多く寄せられることを何よりも強く期待したわけです。
ただ4回目となる孝道部門(親孝行エッセイ)コンテストを除けば、本団としても初の試みでしたし、どれほどの反響があるか不安があったのも事実です。
しかしながら、各界各層の皆樣からの惜しみないご支援とご協力により、北は北海道から南は九州まで、401人の方から640点もの作品が集まりました。その中には在日同胞はもちろんのこと、とても喜ばしいことに本国や日本の方からの応募も少なからずありました。
こうした私たちの予想を超えた底辺の広がりは、期待を超えた大きな成果であったと評価できるでしょう。
多くの応募作品を受けた在日の有識者による審査委員会では、どの部門においても活発な議論が交わされました。
論文部門では残念ながら最優秀賞こそ該当無しとなりましたが、それでも大学生や主婦からのユニークな作品、また斯界(しかい)の重鎭と言える方からの応募も頂き、当初は予定に無かった激励賞・特別賞・功労賞を加えて施賞することに致しました。
詩歌部門においては最優秀賞の選定方式と数、および賞金額を変更した上で、次の機会には、いわば「芸術の部」としての一般・大学生と、「学習の部」としての小・中・高校生の二つに分類して募集するのが望ましいということで意見の一致が見られました。
また写真部門においても優れた写真が多かったことから、入賞に替えてそれよりも上位の位置付けとなる佳作として数点を表彰する運びとなりました。
そうした中でとりわけ感動的だったのが孝道部門です。この審査を担ったある審査委員は、過去3回と比べて最も優れた作品が集まったのが、今回ではなかったかと評価されました。
私も全く同感ですが、これは詩歌部門も含めた「MINDAN文化賞」への応募について、積極的に生徒指導をして下さった各民族学校の先生方のご尽力が特に大きかったからではないかと存じます。
その親孝行エッセイの受賞作は今回で42作を数えます。いずれ近い将来、『親孝行エッセイ・コンテスト受賞作品集』として出版することも検討できることでしょう。
不慣れなことから、至らない点や残された課題もあったかとは存じますが、おかげさまで「MINDAN文化賞」は、所期の目的を達成することができたように思います。
これもひとえにご応募を頂いた多くの皆樣をはじめ、後援を賜った駐日韓国大使館と協賛企業の皆樣、そしてご多忙にもかかわらず快くお引き受け頂いた審査委員の皆樣の、在日同胞文化に対する深いご関心とご協力によるものであり、心より感謝申し上げます。
本日は栄(は)えある授与式です。受賞された47人の皆樣とご家族の皆樣に心よりお祝いを申し上げます。おめでとうございます。
(2008.1.30 民団新聞)