掲載日 : [2008-03-12] 照会数 : 5691
<京都版>京都で初の再現行列 朝鮮通信使来日400周年記念
平和メッセージ 全世界へ
朝鮮通信使の来日から400周年にあたる昨年の11月3日、民団京都府本部は京都市内の目抜き通りで朝鮮通信使行列を再現した。これは民団京都府本部の「朝鮮通信使来日400周年記念事業」の一環。京都市立御池中学校で行われたオープニング式典で金有作団長は「通信使は韓日の平和外交の象徴。京都から世界に向けて平和を宣言しましょう」と挨拶した。
京都市内で朝鮮通信使行列が再現されたのはこれが初めて。式典では呉榮煥駐大阪韓国総領事の正使と、二之湯智参議院議員の京都所司代が「国書」を交換し、韓国と日本との平和・友好・親善を誓いあった。また、金一志舞踊団が華やかな扇の舞で式典を彩った。
行列は民団本・支部役員をはじめ京都韓国茶道会、韓国人留学生、日韓文化交流促進協会会員、湯歩会会員、京都国際学園生徒、335‐C地区のライオンズクラブメンバー、公募に応じた京都市民ら268人で構成した。
それぞれ朝鮮通信使や対馬藩士など当時の衣装に身を包み、御池中学校正門から祇園石段下まで約2㌔㍍を行進した。金一志舞踊団、サムルノリチームによる舞踊と音楽、婦人会の鮮やかなチマ・チョゴリの華やかな行列に沿道では市民が拍手で出迎えた。
終了後、行列参加者の一部30人は国際交流会館での「オープンディ2007」に合流し、通信使の往時の姿を披露した。朝鮮通信使の研究家としても知られる仲尾宏氏(京都造形芸術大学客員教授)が、朝鮮通信使が日本の文化に及ぼした大きな影響や平和外交に果たした歴史的意義を会場の参加者に向けて説明した。
再現行列にあたって民団京都府本部は5月から日韓文化交流促進協会(二之湯智理事長)と共同で準備を進めてきた。上田正昭京都大学名誉教授、仲尾宏京都造形芸術大学客員教授、二之湯智参議院議員、金有作本部団長、王清一本部常任顧問が呼びかけ人となって40人の世話人会も構成され、記念事業を財政的に支えた。
記念事業には韓国から社団法人朝鮮通信使文化事業会(姜南周執行委員長)も共催に加わり、通信使の衣装、輿(みこし)、道具などを提供した。
400周年記念事業
コリアンサロン「めあり」でも
■シンポジウム
韓国民団京都府本部と朝鮮総聯京都府本部、財団法人京都市国際交流協会の3者で構成するコリアンサロン「めあり」は昨年11月8日、京都市国際交流会館イベントホールで朝鮮通信使来日400周年記念シンポジウムを開催した。
在日同胞ら市民約170人が参加し熱心に耳を傾けた。
はじめに、上田正昭京都大学名誉教授が「朝鮮通信使と雨森芳洲」と題して報告。対馬藩儒者であった雨森芳洲が説いた「誠信の交わり」を「現代において、学ぶべき平和外交の指針」であると力説した。
仲尾宏京都造形芸術大学客員教授は「朝鮮通信使と京都」と題して語った。このなかで朝鮮通信使が京都に訪問した事例を詳細に報告し、国書交換式が伏見にあった京都所司代との間で行われたことを説明した。
この日のシンポジウムは水野直樹京都大学教授がコーディネーターを務めた。
■「耳塚」共同慰霊
コリアンサロン「めあり」は昨年11月、京都市東山区にある史跡「耳塚(鼻塚)」前で「日本・朝鮮半島 平和・友好・親善を祈願する耳塚(鼻塚)共同慰霊の集い」を開催した。3団体の代表ら約50人が参加した。
金有作団長は「在日コリアンと京都市民が互いの人権を尊重し、共生できる多文化共生社会の実現に向け、コリアンサロン『めあり』事業を通じて努力していきます」と誓った。
来賓の上田正昭京都大学名誉教授は「民団、総聯の両団体に行政が加わって文化事業を行っているのは全国で京都だけ。イデオロギー、国境を超えての供養は、耳塚の歴史の中でも初めての画期的な出来事で、感慨深い。今後、善隣友好、反戦平和の誓いの場に生かしてほしい」と語った。
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このほかの記念事業は次の通り。
●『パネル展〜朝鮮通信使・絵画往還図など』 高麗美術館の協力のもと07年11月3〜11日、京都市国際交流会館・姉妹都市コーナーで朝鮮通信使を解説した記録映画を上映。約600人が参加した。
●『平和絵画展』 テーマ「平和〜つなげよう!手と手、心と心を〜」。07年11月3〜11日、京都市国際交流会館・姉妹都市コーナーで開催。京都市内の小学校、民族学校(中・小学校)、民族学級の児童・生徒の作品130点を展示した。約600人が観覧した。
(2008.3.12 民団新聞)