掲載日 : [2008-03-12] 照会数 : 7730
フラッシュ同胞企業人(19) 健康・美容・環境を柱
[ 1970年神戸生まれ。甲南大学経済学部卒。85年にナチハマ(兵庫県加古郡稲美町)設立。エポクリン加工特許取得。 ]
洗剤不要のエポクリン商品を生産
ナチハマの高龍秀社長
「環境と健康」をテーマに「地球の自然と人々の健康を守るために役立ちたい」と、23年前からエコ商品の開発・製造に取り組んできた。
洗剤を使わず、水にぬらすだけで汚れが落とせる加工布やスポンジなどの「エポクリン商品」は、表面に1万分の2〜3㍉のゴム粒がぎっしりと何層にも重なる。表面をこするだけで、汚れはきれいにとれる。洗剤のすすぎ残しの心配がなく、赤ちゃんのいる家庭でも安心。丸洗いのできない電化製品も、この布で拭くだけで簡単に手入れが可能だ。
100種類超す商品
商品構成は、ホームクリーン商品やボディケア商品、介護商品など約100種類に及ぶ。ホームクリーン商品では、食器洗いや風呂洗いスポンジ、トイレ洗いブラシなどが中心だ。
また、ボディケア商品では、石鹸のいらないタオルが主力で、特に化粧落しのパフは、毛穴の汚れや角質まで落とすことができる人気商品。介護商品では、寝たきりや風呂に入れない老人たちのためのタオルが好評だ。ソフトタオルは保湿性が高く、使い心地の良さが抜群。社員は18人。07年度売上額は1億4316万円。
エコ商品との出発は、発明者・飯野博一氏(故人)との出会い。飯野氏は「地球の環境に悪影響を及ぼす洗剤類は、一切使わない」をコンセプトに、「エポクリン加工布」の開発にエネルギーを注いだ。エポクリンとは、「新時代の汚れ落し」という意味。
当時、父親の常弘さんは、神戸市長田区でゴム関係に従事していたが、この商品に感動。「ぜひ、当社で売らせて」と再三足を運んだ結果、製造・販売を任された。
小学生の頃、母親の黄珍邵さんが経営する焼肉店の屋上で、「ゴム液に浸けたタオルを干してはよく乾燥させた」という。
78年、神戸市中央区元町で高木化学工業所を開設。81年にナチハマ化学工業所と改名。85年に(株)ナチハマを設立。
すべて手作業で
5年前、父親が他界しあとを継いだ。改良を重ねた末、エポクリン加工の特許を取得した。「利用者からの反応を直接聞きたいから」と、販売店を1軒1軒まわりながら、商品の取扱方法を指導するほか、百貨店やスーパーでの実演販売に力を入れる。顧客はリピーターが多い。
95年の阪神大震災を機に、本社と工場を統合した。工場の総面積は約2000平方㍍。ゴム液に浸けたタオルやブラシを、7〜10日間天日干しし、手作業で商品を袋詰めする。「全て手作業なのは、社員たちに1つひとつの商品に気持ちを込めてほしいから」。
社名「ナチハマ」の由来は、碁石。ナチは和歌山の那智黒石。ハマはハマグリのことで、最高級の碁石を指し、美しい自然界だけからもたらされる。囲碁の大好きな常弘さんがネーミングを考えた。
自然にやさしい製品の普及は、汚れとの戦い(ゲーム)にも通じる。
「水を汚すことは簡単。でもいったん汚れたものを戻すことは大変だ。それならば、初めから汚さないような製品を開発していくことが大事」と力説する。
〈健康・美容・環境〉を3本柱に、「肌に安心、自然にやさしい健康商品を作って行きたい。自然を大切にすることが、本当の豊かさにつながる」と目を輝かせた。
(2008.3.12 民団新聞)