掲載日 : [2008-04-16] 照会数 : 7286
同胞からの相談多様 民団生活相談センター
![](../old/upload/48057ecf3f08b.jpg)
全体会議で報告
相続、戸籍離・婚姻など
民団中央本部は東京・港区の韓国中央会館内に「みんだん生活相談センター」(所長、呂健二民団中央本部副団長)を設置し、各分野の専門家の協力を得ながら在日同胞の抱える生活上の諸問題について無料相談を受け付けている。開設から10カ月目に入ったセンターは2日、専門相談員を招いて全体会議を開き、これからの課題を探った。
これまでの相談内容を見ると相続や戸籍、離・婚姻に関するものが群を抜いている。相談員別分類では行政書士と弁護士がカバーするテーマだ。
具体的には韓国に残された亡父の遺産相続をどうするかなど。なかには既に他人名義になっていて紛争になっているという例も見られた。離・婚姻関連では慰謝料や養育費、養育権をめぐっての争いごとが多い。1月から戸籍法廃止に伴う「家族関係登録制度」が施行されたことから、今後もこの分野での関連相談はさらに増えるものと見られている。
高齢化社会のいま、専門相談員の行政書士からは「相続だけでなく、これからは年金と福祉の関連でもニーズが出てくるはず。あきらめないで権利意識を持って主張していかなければ」と注意を喚起している。なかには「支払い済みの年金が未納にされていた」という事例も見られた。
一方、税金など税理士関連の相談はこれまでのところ比較的少ないようだ。この理由として、電話では具体的な指導が難しいことが指摘されている。しかし、来日してまもない同胞事業主からは、韓国語の堪能な税理士を探しているといった声も届いている。このほか、不動産賃貸に伴う暴力団とのトラブル、韓国国内での葬儀屋探しと、多岐にわたっている。
相談は予約制による直接面談が原則。事務局での受付は土・日曜日を除く毎日午前9時半から午後4時まで。専門相談員の対応時間は午後1時から午後4時まで。℡03・3454・4911、FAX03・3454・4632。なお、地方在住者については、最寄りの民団本部に設置されたテレビ電話で対面相談することもできる。
「より身近に」をめざす
昨年7月の開設から今年3月までにセンターに寄せられた相談件数は479件。月間平均にして50件弱と、1年目としては決して少なくない相談が寄せられた。駐日大使館でも民団の取り組みを高く評価し、昨年12月には当時の柳明桓大使が公邸に関係者を招いて異例ともいえる晩餐会を催したほど。
ただし、周囲の期待に応えるためにもさらに活用頻度を高めていかなければ、というのが専門相談員たちの一致した意見だ。
2日に開かれた08年度全体会議の席上、呂所長は「いままで受け身になっていた。待ちの姿勢から脱皮して、能動的に打って出るセンターにしていきたい」と意欲を述べた。
具体的な方策としては①相談事例を集めたQ&A形式の冊子発行②依頼者が地元で相談できる専門家集団の組織化③毎日交替でセンターに詰める当番相談員に関する情報の提供などが上がっている。
相談形態を見ると、専門家と直接顔を合わせないで済む電話依頼が全体の75%と圧倒的に多い。来所は5分の1ほど。続いてテレビ電話とメールの順。依頼者のプライバシーに配慮しながら、相談内容をいかに充実させていくのかが今後の課題といえそうだ。
その点、近日中にも北九州に「みんだん生活相談センター小倉支部」が開設されるのは示唆的といえよう。今後とも身近な地方支部で相談センターが開設されていけば、これまで以上に同胞の関心が高まりそうだ。
(2008.4.16 民団新聞)