韓信協(在日韓国人信用組合協会。呉龍夫会長)の会員6組合と近畿産業信組の通常総代会が6月中にそれぞれ開催された。
韓信協がまとめた2014年度会員6組合の決算状況によれば、預金は547億700万円増の7332億5300万円、貸出金は413億6300万円増えて4709億1100万円となった。預貸率は0・92ポイント上がって64・22%。
14年度業績で注目すべきは、全会員組合が黒字決算を実現し、配当を実施したことだ。会員組合そろい踏みは実に15年ぶりである。業績にバラツキはあるものの、韓信協総体として経営基盤の安定化が進んだと言える。
これまで、現・横浜中央信組の合併当事者である旧中央商銀(07年12月、旧横浜商銀と旧北陸商銀が合併)と、旧あすなろ信組、愛知商銀の3組合のいずれかが赤字決算となっていた。また、旧中央商銀は14年間、旧あすなろ信組は13年間、愛知商銀は12年間、ともに無配当だった。
14年3月に誕生した横浜中央信組が、旧中央商銀とあすなろ信組が抱えていた繰越欠損と不良債権のほぼ全額を一気に処理したこと、また、赤字が3期続いた愛知商銀が07年から黒字に転換、14年度3月期決算でようやく繰越欠損の全額を処理したことが、全組合の黒字、配当実施につながった。
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あすか信用組合
多様な融資功奏す
あすか信用組合(金哲也理事長。本店・東京都)は26日、新宿の本店で第49期。総代113人中99人(委任状44)。
好評を得ている特別金利定期預金の「あすか」「あおば」と60歳以上限定の「シルバー定期」「プラチナ定期」が好調に推移し、預金は前年比126億1200万円増の2232億円となった。貸出金は一昨年から販売している不動産担保ローンなどの融資商品が好調で137億円増の1378億円。預貸率は61・74%。
純利益では貸出金増加による利息、手数料などの役務取引等収益の増加、さらに物件費の減少で前年並みの12億900万円を計上した。これは3年前の3倍、一昨年の約2倍の実績。自己資本比率は7・46%。出資配当は前期と同じ2%。
金理事長は「多様な資金需要に応じるとともに、コンサルティング業務の拡大を継続していきたい」と明らかにした。
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信用組合広島商銀
貸出先の開拓進む
信用組合広島商銀(井上一成理事長。本店・広島市)は26日、本店で第54期。総代110人全員出席(委任状52)。
預金は主力商品の「大輪定期」と「年金定期」をはじめ、5年定期や来店優遇金利などで、68億6900万円増の1471億1300万円。
貸出金は新規事業先の開拓を強化し、住宅ローン「ベスト85・100」の発売、太陽光発電メーカー、福祉医療機構との融資制度提携で、35億6500万円増の952億4700万円を記録した。預貸率は64・74%。
貸出金利の低下などで資金運用収入が減少したが、有価証券の売却などで純利益1億8200万円を計上。自己資本比率は6・88%。配当率は2%を維持した。
井上理事長は「顧客のニーズに応じた提案・情報提供・経営相談を強化したい」と強調しながら、今年を「将来への営業基盤の強化、人材育成と活用の年」と位置づけた。
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横浜中央信用組合
預金・貸出大幅増に
横浜中央信用組合(呉龍夫理事長。本店・横浜市)は26日、横浜市内のホテルで第2期。総代125人中102人(委任状59)。
合併後2期目に入って営業地域拡大というスケールメリットを活かした収益基盤の構築を図った。
預金は前年比214億6600万円増の1363億6400万円。貸出金は212億500万円増えて1010億100万円(前年比26・6%増)となった。預貸率も4・62ポイントと大幅に伸ばし74・07%とした。自己資本比率は昨年の26・22%には及ばないものの20・85%と大台を維持した。
呉理事長は「貸出金の増強、余裕資金運用の効率向上、リスク管理が重要」とし、「取引先の情報を収集し、ニーズを的確に把握する信用組合の強みを活かした営業体制の整備・充実と人材育成に努めたい」と今期の抱負を語った。
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九州幸銀信用組合
順調な「中期計画」
九州幸銀信用組合(金龍海会長、溝江雅夫理事長。本店・福岡市)は25日、本店で第59期。総代112人中59人(委任状26)。
2年前から推進している「第3次中期経営計画」を柱に、「組織力強化、取引先への浸透、人材の育成」に積極的に取り組んだ。
預金は119億5500万円増の1150億300万円。貸出金は71億500万円増の684億7000万円。
預貸率は前期とほぼ同じ59・54%だが、出資金の増加により、自己資本比率は1・08ポイント上昇し7・02%に。純利益は前年より約1億円減少したものの、中期経営計画値を上回る2億5600万円を計上。配当率は1・2%を維持した。
溝江理事長は「今まで以上に地域社会における使命・役割を再認識し、顧客ニーズに応じた提案や情報提供、経営支援、相談を広げていく」と表明した。
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信用組合愛知商銀
創業支援の拡大へ
信用組合愛知商銀(李國雄理事長。本店・名古屋市)は26日、愛知韓国人会館で第62期。総代117人中113人(委任状52)。
個人預金の堅調な増加により、預金は前年比17億3700万円増の857億8200万円となったものの、貸出金は各企業の設備投資が低調だったことなどを背景に、40億円減の565億5700万円。預貸率は6・13ポイント下がり65・93%。
純利益は2900万円増の5億5800万円。内部留保の充実化を図ったことで、自己資本比率は0・38ポイント増の8・40%とした。また、長年見送られていた出資配当を1%とした。
李理事長は「取引先拡大、人材育成、安定収益確保、業務の効率化を経営の柱とし、事業再生、創業・新事業への支援、各種経営相談などコンサルティング機能の提供を広げていく」と今期の決意を述べた。
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信用組合岡山商銀
自己資本率10%超
信用組合岡山商銀(梁炳玉理事長。本店・岡山市)は19日、本店で53期。総代107人中87人(委任状23)。
預金は6700万円増の257億4500万円となった。貸出金は2億2600万円減の117億9500万円。預貸率は1ポイント下がり45・81%に。
純利益は不良債権の早期処理および貸倒引当金の圧縮を進めたことで、9500万円増の2億800万円と前年の倍近くを計上。出資金、積立金の増加で自己資本比率も1・25ポイント上がって10・33%になった。配当率は前年と同じく2%とした。
梁理事長は「依然として厳しい経営環境が続いたが、各種リスクを適切に管理しつつ、新規融資を含む資金提供を行い顧客企業の育成・成長へ積極的に取り組んだ」と述べ、「金利上昇リスクが懸念される中で余裕資金の運用効率向上に努めたい」との考えを示した。
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近畿産業信用組合
預金高1位を維持
近畿産業信用組合(大本崇博理事長。本店・大阪市)は22日、大阪市内のホテルで第62期。総代196人中178人(委任状75)。
預金は569億円増の1兆3126億円で全国1位を維持。貸出金は521億円増の7246億円。預貸率は1・64ポイント上がって55・20%に。純利益は6億7600万円増の52億5100万円、自己資本比率は0・13ポイント上がり9・74%となった。配当率は前年と同じ2%。
今年で3年目に入る「5カ年中期計画」は、収益力強化と内部管理態勢の構築に取り組む。「新本店プロジェクト」について、金融・証券の街、北浜に365坪の土地を確保したことを発表。3年後に完成予定。
大本理事長は「地域のマネーセンターとして全役職員が総力を挙げて取り組みたい」と表明。
(2015.7.8 民団新聞)