学生 選択の幅広がった
企業 人材確保へ手応え
2016年卒業予定の大学生の就職活動が本格化している。求人が増えているとはいえ、大手から内定を得た同胞はまだ、一部だろう。実は中小ながら、国籍を問わず優秀な人材を求めている企業は多い。そうした20社が参加しての「MINDAN就職フェア」が11日、東京・港区の韓国中央会館で開催され、170人を集めた。学生側からは選択の幅が広がったと歓迎する声が聞かれた。
出展企業は金融、貿易、小売り、IT情報通信、人材、電子電気機器、ホテルなどバラエティー豊か。それぞれブースを構えて学生側に企業の特色をアピールし、質問にも答えた。
学生にはおおむね好評。「さまざまな企業があるなか、自分が就職したいと思う企業を絞り込むのが難しかったほど」という声も聞かれた。参加者が書き残したアンケートを見ても、9割が肯定的な感想を記していた。
「韓国系の企業が複数参加したので来た。有力な求人情報を聞くことができた」、「職種の幅が広がった。いろいろな会社に目を向けていこうと思いました」、「知らなかった企業を通じて、知らなかった業界についても知ることができた。自分の視野が広がり、良い機会となった」など。
在日韓国人の金慶和さん(25)は姉の紹介でフェアを知った。錦湖アシアナグループの副社長まで上り詰めた在日韓国人の玄東實さん(アシアナスタッフサービス社長)が特別講演すると知り、会場に足を運んだ。金さんは「内容も良くて、就職への力をもらった」と満足そう。
岩井万里さん(25)は韓国に留学した経験を活かせる仕事をと思って参加。「気になった」という企業も2社見つかり、「来てよかった」と笑顔を見せていた。
転職を考えているというある韓国人留学生は6社のブースを回ったという。「外国人を採用しようと思う企業からは日本語のほか、英語の会話能力も求められる」と表情を引き締めていた。
サービス業の伊東園ホテルズは韓国語を話せる人材を求めての出展。あすか信用組合人事課課長の海山泰延さんは、「知識向上に貪欲な人がいい」と話す。何人かは「この人は」という人材が見つかり、手応えを感じていた。
弁護士法人オルビスは秘書を求めている。金紀元弁護士は、「韓国系の事件が多いので、韓国語ができればなおさらいい。国籍は関係なく、ひとりかふたり採用したい。多様な人材がブースを訪れてくれて、思った以上の成果だった」と喜んでいた。
就職対策セミナーでは、東京都区内で人材サービス業を経営する朴永鎮さん(東京青商常任副会長)が、「仕事を選ぶうえで、自分の選択肢を狭めるな。職種への固定観念を捨てよう」とアドバイスした。
(2015.7.15 民団新聞)