掲載日 : [2015-10-28] 照会数 : 4707
<布帳馬車>探索バチの尻振りダンス
朴槿恵大統領がワシントン・ポスト紙とのインタビューで、北韓の高位級幹部が相次いで亡命している旨の発言をしたことがある(6月)。その後、政府から公式発表がなかったこともあって、「細心の注意を払っているのだろう。相当な大物がいるのでは?」と期待を抱かせた。
必ずしも「期待はずれ」ではなかったらしい。韓国に亡命した北韓の海外駐在官が今年に入って20人になったことが公にされた。13年は8人、14年が18人。着実に増えている。駐在官は「成分」が最上級の党・軍・政府のエリートに限られる。亡命者には権力中枢の軍総政治局所属の幹部や金正恩の「秘密資金」を管理していた人物も確認されているという。
この関連で政府当局は、北韓政権の求心力は金日成時代を100とすれば正日時代は50〜70に、正恩時代になって10程度にまで落ち込んだと分析している。380以上の市場が立ち、携帯電話の使用者が370万人におよぶとも。指導者崇拝より金銭崇拝が顕著になったという。
北韓を一匹の女王バチが数万の働きバチに君臨する「女王バチ国家」と揶揄する人も少なくない。金王朝を正当化する歴史体系を「女王蜂史観」と命名したりもする。ところで、働きバチの3%ほどが探索バチだ。
このハチは天敵や風雨から集団を守る巣作りに最適な場所を探す。ここぞと思う場所を見つけると、それぞれが尻振りダンスをしてアピール合戦を行うのだとか。亡命幹部や市場活動で富を蓄えたトンジュ(金主)の存在は自ずと周囲を刮目させ、新たな生活の場を提示する探索バチの役割を果たしているに違いない。尻振りダンスがブンブンと勢いづく気配がある。(D)
(2015.10.28 民団新聞)