掲載日 : [21-07-27] 照会数 : 9253
安昌林、闘魂の3位…在日45年ぶりの五輪メダル
[ 在日同胞選手としては1972年のミュンヘン五輪以来、49年ぶりのメダル獲得を果たした安昌林 ]
[ 3位決定戦では、得意の背負い投げで技ありを取った ]
東京五輪の柔道男子73キロ級が26日、日本武道館で行われ、在日3世の安昌林(27)が、3位決定戦で、オルジョフ(アゼルバイジャン)から終了7秒前に背負い投げで「技あり」を奪い、銅メダルを獲得した。
試合後、安は「金メダルを取れず納得できないが、後悔はない」とし、「東京五輪に向けて準備し、実力を引き上げるため全てのことをした」と話した。
安昌林は初戦となった2回戦から3回戦、準々決勝をいずれも延長戦の末に突破した。準決勝も延長にもつれ、指導3回を受けて反則負けとなった。
安は筑波大の2年生だった2013年に全日本学生柔道体重別選手権で優勝。日本代表チームの帰化要請を断り、翌年、韓国の柔道強豪校として知られる龍仁大学に編入した。
「当時、大学の監督から日本に帰化するつもりがないかと尋ねられたが、韓国籍は祖父と祖母が命をかけて守ったもの。韓国籍を維持したことを後悔したことは一度もない」と話した。
また、「在日韓国人は日本では韓国の人、韓国では日本の人と呼ばれる」とし、「差別があるのが事実」と話した。その上で、「オリンピックでメダルを取り、在日同胞に対する認識を良い方に変えたかった」とし、「私の姿を見て(在日同胞の)子どもたちが大きな力と希望を得てくれればうれしい」と述べた。
また、「私の精神的な基盤は在日同胞の社会で作られた」とし、「今も多くの在日同胞たちが支援してくれる。感謝を伝えたい」と述べた。
柔道の聖地と呼ばれる日本武道館での銅メダルを獲得には「栄えある場ではあるが、試合の時は感情をすべて捨て、機械的に集中した」と話した。
金メダルが獲得できなかったことに対する失意が大きいように見えた。ライバルである日本の大野将平と対戦することなく五輪を終えたことについては、「対戦できなかったのは残念だが、今回の目標は大野(に勝つこと)ではなく、金メダルだった」と話した。
在日同胞としてのメダル獲得は過去、金義泰が銅(64年東京)、呉勝立が銀(72年ミュンヘン)、朴英哲が銅(76年モントリオール)を獲得している。安昌林のメダル獲得は4人目で45年ぶりとなる。