掲載日 : [21-09-08] 照会数 : 7893
日本政府の関与を浮き彫りに…在日韓人歴史資料館「関東大震災ロビー展」
在日韓人歴史資料館は東京・港区の韓国中央会館1階で関東大震災に関するロビー展を開催している。「日本政府が事件に直接、間接に関与したことが朝鮮人虐殺事件の決定的な要因となった」との視点に立ち、具体的に明らかにすることに展示の重点を置いた。
パネル資料によれば、流言の拡大に積極的役割を果たしたのは当時の内務省だった。2日午後、海軍の無線送信所に伝令を送り、翌朝、全国に朝鮮人が「不逞」を働いていると打電させた。埼玉では県内務部長が「一朝有事の場合、適当な方策をとるように」と町村当局者に電話で移牒した。
虐殺は東京、横浜から始まり、千葉、埼玉、群馬の各地に広がった。群馬では地元新聞が流言の拡大に一役買ったことがわかる。
生々しい虐殺の現場は写真とスケッチで伝えている。当時の挿絵画家、河目悌二の作品と推定されている「朝鮮人虐殺の図」(国立歴史民俗博物館所蔵)は河畔で目撃した現場を水彩画でリアルに伝えている=写真。
堅山南風の画「大震災実写図巻」(複写)は全31巻構成。「自警団」の図では日本刀を腰に差した人や、手に竹やりやこんぼうを持った人が多数いて尋問なども行ったことがわかる。
ガラスケースには関東大震災時の朝鮮人虐殺研究の第一人者、故姜徳相前館長の関連著書や自筆原稿も展示した。
ロビー展を企画した担当者は「領事館に行く途中で展示に目をとめてもらい、資料館に関心を持つきっかけになってくれればいい」と話している。