掲載日 : [2018-08-15] 照会数 : 6952
「朝鮮人移民を知っていますか」…「負の遺産」から学ぶ
[ 会場の一角に設けられた「特別展」コーナー ]
「満蒙開拓平和記念館」特別展
【長野】満蒙開拓の史実を通じて戦争の悲惨さと平和の尊さを世界に向けて発信している民間施設「満蒙開拓平和記念館」(下伊那郡阿智村駒場)で特別展「満州への朝鮮人移民‐朝鮮人移民を知っていますか」が開かれている。施設の建つ県南部の飯田・下伊那は全国で最も多くの開拓団を送り出した地方だ。
趣旨文には「満州開拓は日本人の移動だけではなかった。朝鮮人も中国人も含めて多くの民族や地域を巻き込んだ」とある。展示パネルでは朝鮮人が日本の植民地政策のために旧満州(中国東北地域)へと移住せざるを得なかった経緯と歴史に光をあてた。
当時の日本人開拓団が朝鮮人移民を目撃している。「食糧不足しとるもんで、食べるもんほしさに鴨の卵拾いに行くんですよ。たくさんのときは朝鮮人部落へもってって、水あめと交換してもらって。彼らは作り方知っているもんで、同じ畑からとれたものでも水あめにするんですよ。粟とか米からね」「朝鮮部落へ行き料理をごちそうになったこともありました」(大八浪泰阜村開拓団)
「朝鮮人もおってその人たちは米を作っておった。こっちから行った開拓団の衆は作らんで、朝鮮人に作らせておった」(新立屯上久堅村開拓団)
「私は学校に上がったんだけど、それは朝鮮人ばかりの学校だけれど、朝鮮語は絶対使っちゃいけないっていう学校だった。みんな日本語上手でした」(水曲柳開拓団)
主催者側は「朝鮮から入った人もたくさんいたことは2013年4月の開館当時、展示から抜け落ちていた。満蒙開拓の歴史から学び、平和への教訓とするためには、朝鮮や中国の人たちの立場や想いにも心を馳せる必要があると考えた。将来的には常設展に加えていきたい」と語っていた。
20日まで。入館料500円。一般社団法人満蒙開拓平和記念館(TEL・FAX0265・43・5580)。
(2018.08.15 民団新聞)