掲載日 : [2010-12-22] 照会数 : 7462
「難しいけれど面白い」ハングル書芸に夢中 カルチャ天神
李安子講師 年賀状作成にも挑戦
【福岡】50年の歴史をもつ福岡県の老舗「カルチャ天神」(旧「西日本新聞天神文化サークル」=西日本新聞会館内)で、今年4月から始まった「ハングル書芸講座」の講師は、李華書芸会を主宰し、福岡を主な舞台に活躍する在日2世の李安子さん。受講生たちは「難しいけど面白い」と熱心で、年賀状づくりにも挑戦中だ。李さんは古典の宮体を基本とし、筆記体やデフォルメした自由な表現へと指導したいと考えている。
ハングルの本格的な書道教室はまだ少ない。だが、韓流ドラマやKポップ、韓国料理への愛好などを入り口に、関心が韓国語に向かい、やがてハングルを美しく書きたい、と進んで行く傾向が見られる。
李さんは読売書道展のほか福岡県展などにたびたび入賞、水墨画でも国際公募墨画トリエンナーレ富山で入賞する実力派だ。書道の指導者になって30年余。「偉大な文字ハングル、この誇り高い文字を日本に普及させるうえで、少しでも貢献できるようこの機会を大切にしたい」と意気込む。
第1期の受講生は、韓国語はほとんど読めない、書けない中高年の女性たち9人。月2回の講習は15時半から17時半まで。事務局によれば、「もっとも集まりにくい魔の時間帯なのに、予想以上の数」とのこと。
「習字をしたかった。韓国語も勉強したかった。その二つの夢をかなえる講座があると知って参加しました」。ハングルの書の基礎本を2冊持ち、新聞で開講の記事を見たときには「身体が震えた」と話す受講生もいた。
読み書きが少しはできるという小林さんは、「どんなものか知りたくて。ハングル語も早く覚えられるかな? 級もとりたい」。書道経験者の樋口さんは、「韓国ドラマが好きでよく見ている。そのうち文化が素晴らしいと感じた。詩なども書きたい」と話す。
李さんは「ハングルは画数が少なく、単純に映るだけに、体裁を整えるのがかえって難しい」「形が良くても線質が問われる」「集中力・一貫性が大切」と指摘する。太さの細微な差でも印象が違ってしまうからだ。李さんの書の恩師は、ソウルの東方研書会の如初・金膺顕氏(故人)。「描くな。書け」と繰り返し指導された。
08年春に福岡市美術館市民ギャラリーで開いた「李安子 書・水墨画展」で注目を集めたのがハングルの書12点。なかでも「カゴパ」(帰りたい。李殷相作)、「序詩」(尹東柱作)など対訳付きの詩4点に足を止める人が多かった。「ハングルにも書道があるのですか!?」「教えてください」。鑑賞者からの率直な言葉を李さんは忘れなかった。
「ハングルに対する関心は年々広がっても、アルファベッドのようなイメージや硬質な活字だけという印象が強い。書でも多様な表現が可能なことを知らせたい」。そのときの思いが2年後に結実したのだ。
「韓国文化に対する理解も、書くことで深みがでる。いずれ、韓国と日本で書の交流展をやりたい」
連絡先=李華書芸会092・671・8798
(2010.12.22 民団新聞)