日本語教育で自立支援
「守る会関西支部」在日の支援呼びかけ
【大阪】脱北者が日本で就職先を確保し、生活の基盤を固めていくために、日本語会話の習得は欠かせない。支援団体の「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会関西支部」(窪田和夫支部長)は05年12月から「脱北者あしなが基金」を設け、これまで10数人の自立を支援してきた。基金は会員のカンパだけが頼り。台所事情は厳しい。
基金が支援の対象としているのは、幼い頃に北送船に乗船したために日本語を忘れたり、北韓で生まれ育ったためまったく日本語を学ぶ機会のなかった元在日同胞の子弟たち。学費と教材費、必要とあれば、大阪市鶴橋にある教室までの交通費も負担している。
簡単な日常会話を取得するのに最低半年。週5回の授業料と教材費などで1人あたりざっと20万円はかかるという。該当者は返済の義務を負わないため、基金は火の車同然。それでも、自らの努力で就職先を見つけ、自立の道を歩んでいく少数の脱北者の姿が関係者の励みとなっている。
教室は日本語教師の資格を持ち、民団大阪本部などで韓国語も学んだ高橋順子さんが運営している。韓国からの短期留学生や新渡日韓国人も一緒に学ぶため、人間関係の希薄な元脱北者にはプラスになっているようだ。高橋さんは授業をしながら、社会生活を送るうえで欠かせないマナーも教えている。
早ければ6〜8カ月くらいで日本語能力検定試験の3級、ないしはさらに上の2級に合格できる能力が身につく。これは日本でアルバイトしながら自立できる程度の語学力という。高橋さんは、「若い人はやはり上達が早い。日本に来て1年足らずで運転免許を取り、韓国料理の食材を配達する会社に就職した男性もいます」と話す。
一方で1日も早く稼ぎたいと、2、3カ月で通学をやめる人も。窪田支部長は、「言葉ができないとなにもできない。在日の企業でも日本語が絶対に必要」という。
現在、基金を支えているのは限られた日本人篤志家たち。窪田支部長は「脱北者の問題でぜひとも『在日』の協力がほしい。『在日』からカンパが集まれば、日本政府を動かすことも可能になる」と訴えている。基金の郵便振替口座は口座名「脱北者あしなが基金」、口座番号「00900‐7‐315884」。
(2011.3.8 民団新聞)