元在日同胞脱北者が1日、重い口を開き、北韓の暴政を告発した。千葉と長野の両民団本部が、当事者の生の声に耳を傾けようと、韓国会館での3・1記念式典に続いて企画したもの。参加者から「人ごとではない、自分だったらなにができるのか」と自問自答する声が聞かれた。
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自らの役割模索
千葉本部で
千葉では家族に連れられ、13歳で北韓の地を踏んだ金春子さん(仮名)が証言に立った。金さんは北送船に乗船するに至った日本での貧しかった生活、北韓での苦境、脱北後の中国での潜伏生活、現在の境遇などについて語った。
講演を聴いた参加者たちは、「朝鮮総連の責任は重い。ましてや、金正日をこのまま許すわけにはいかない」「北韓の1日も早い改革・開放のためになにができるのか、私たちも真剣に考えていきたい」という声が聞かれた。
冒頭、民団脱北者支援センターの呂健二代表が、支援センターの取り組みについて説明した。
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会場カンパ伝達
長野本部で
長野では李三奉氏(仮名)が証言に立ち、朴相泓民団中央本部生活局長の質問に答える形で、闇に閉ざされた北韓の内情をつぶさに語った。李氏は話しながらもこみあげる怒りを押さえきれないかのように、何回も立ち上がる場面が見られた。
李さんの話は90分の予定時間を大幅にオーバーしたものの途中で席を立つ人は見られなかった。講演後、「総連が元脱北者の現在の苦境に対して、人ごとのように無関心でいられるのはいったいなぜなのか」と憤りを口にしていた。
呉公運団長は、「思い出したくもないことを語ってもらい、感謝の気持ちでいっぱいだ」と述べ会場カンパで集まった6万円余りを「家族救出のために役立てて」と述べながら李氏に手渡した。
(2011.3.8 民団新聞)