掲載日 : [2021-04-14] 照会数 : 5248
横浜市南消防団「外国人防災指導チーム」発足…「災害弱者」に目配り
[ 南消防団に入団した金正順さん(後列中央) ] [ 心肺蘇生法の研修会に望む金正順さん ]
韓・中から4人入団
【神奈川】横浜市南消防団(南区)に6日、市内初の「外国人防災指導チーム」が発足した。同チームは外国人消防団員4人と外国語の会話ができる日本人団員6人で構成。災害時における避難誘導、後方での応急手当や外国人を対象とした防災訓練などを担当する。現場での公的消防活動には携わらない。
外国人防災団員は中国籍3人と韓国籍の女性、金正順さん(46、南区)の4人。
金さんは2011年、ご主人の仕事の関係で来日。ボランティア志向は韓国国内の大学に在籍していた当時から一貫している。「(自らを)必要とする場所に出向いて役に立ちたい」と、日本でも近隣の公立小学校に通い、日本語の不自由な韓国籍児童のサポートを担ったり、韓国文化の紹介に努めてきた。消防団には1日付で入団した。
消防団員は非常勤の地方公務員。定職を持つかたわら、訓練を積み、災害時に呼び出しを受ける。
2018年の西日本豪雨では現地で行方不明者の捜索にあたったことは記憶に新しい。東日本に大きな被害をもたらした19年には団員の呼びかけで非難して、命をとりとめた団員も多かった。
総務庁消防庁の統計にによれば、消防団の団員数は全国的に減り続けている。昨年4月時点では約81万8000人と過去最低を更新した。こうしたなか、南消防団は市内20を数える消防団では唯一、19年から3年連続で充足率100%を達成した。4月1日現在の団員は定数を満たす395人。
南区の外国人住民登録人口は19年末現在、10万5287人。横浜市の外国人住民登録人口比率が2・80%なのに対し5・46%と2倍近い。外国籍住民は言葉のハンディや地域コミュニティーとのつながりが希薄なために「災害弱者」になりやすいとされるだけに今後の活躍が期待されている。
発足式では南消防署長が、消防団員として社会的責任を果たすよう訓辞。これに応え、チームを代表して中国籍の林海国団員が宣誓した。終了後は心肺蘇生法の研修会が行われた。
(2021.04.14 民団新聞)