掲載日 : [2021-04-28] 照会数 : 4689
北送責任問い1年…脱北者NGO 朝総連中央前で
[ 「モドゥモイジャ」の川崎栄子代表(右)とメンバー ]
朝総連による在日同胞らの「北送」責任を追及しているNGO「モドゥモイジャ(KOA、みな集まろう)」(川崎栄子代表)が9日、東京・千代田区の同中央本部会館前で示威行動を行った。示威は月1回のペースで重ねており、4月ですでに1年が過ぎた。マイクを握る川崎栄子代表の言動からは言い知れぬ焦燥感といら立ちが感じられた。
留守家族処罰に焦燥感
メンバーが胸にしたプラカードには「連座制を適用され、北韓に残した川崎代表の家族が処罰されている。助けて」という文字が見て取れた。川崎代表が脱北した罪を問われ、北に残る5人の子どもと孫たちは生きていのか死んでいるのか分からない。
留守家族にとって生命線ともいうべき日本からの仕送りもコロナ禍のなか、届かなくなってから1年以上が経過した。電話をしても通じないという。離散家族の身になった川崎さんは「不安で強度の不眠症を患っている」と胸の内を明らかにした。
川崎代表は「金日成の奴隷として在日同胞らを貢いだ。北で在日同胞は住民どうしのネットワークがなかったら生きていけない。責任を取るつもりはあるのか」と北送に加担した朝総連の人道上の責任を追及した。
一方で「私たちと一緒に声を上げてほしい。目を覚ませ。北韓の民主化と人権状況改善のために力を貸してほしい」とも訴えた。
川崎代表は京都生まれの在日2世。1960年、「朝総連の嘘の宣伝にのせられ」高校3年生の時に単身、北韓へわたった。清津港に着いたとたん「だまされたと悟った」。出迎えの人たちの身なりがあまりに貧しかったからだ。後に続く予定だった家族には暗号のような手紙で「来るな」と連絡した。
北韓に入国してわずか1、2年で精神に異常をきたしたり、強制収容所に送られた人も見てきた。90年代半ばには食糧不足で「生き地獄」ともいえる飢餓も体験した。
「これ以上はいられない」と43年間過ごした北韓から脱出。「帰国者のために誰かが脱出して、この人たちの苦境を知らせなければならない」との使命感を胸に03年、命がけで脱北。上京し、北送同胞とその日本人妻、日本人拉致被害者の救援のための活動を続けている。
(2021.04.28 民団新聞)