掲載日 : [2021-05-12] 照会数 : 6902
「北朝鮮の全てを語る」元在日3世の脱北者YouTubeチャンネル開設
[ YouTubeチャンネル第1回目の画面から ]
元在日の脱北者、金柱聖さんが日本語版YouTubeチャンネル「キムジュソンテレビ」を開設した。「北朝鮮の全てを語る」と題してすでに40本ほどの動画をアップロードしている。1本あたり3~17分だが、その多くは5分ほど。
金さんは在日同胞3世。14歳の中学生当時、父親の反対を押し切って北送船に乗り込んだ。第1回目に「涙の北送船/ジュソンにとって帰国船とはどんな船?」で当時を回想した。
「山岳地帯でトウモロコシくらいしか育たない北がそんなに良い国になっているわけがない」という父。柱聖さんは「それは韓国当局のデマです」と反論。「幼稚園から強烈なプロパガンダの教育でまっかっかに染まった」だけに聞く耳を持たなかった。
「招待所」について15~20日が経過したところ。元在日の叔父と面会することができた。柱聖さんにとっては父親の兄にあたる。北で生まれた従妹にあたる3人姉妹を伴っていた。この時の印象を「なんか臭い」とだけ語り、「親族のことだから」とそれ以上言及しなかった。
叔父の北での暮らしはすでに15年に及んでいた。日本語での意思疎通はもう無理で「朝鮮呆け」していた。「幸せを求めて帰ったのに日本での生活が恋しい」現状を知り、柱聖さんの北韓への幻想はもろくも崩れ去っていた。
北で初めて出会ったある日本人妻は柱聖さんの顔をじっと見てただ悲しそうな表情を浮かべていたという。「こんな10代の子になんの罪があってここまで連れてこられたのか」。そう思っていたというのは後で分かったことだ。
柱聖さんは09年に脱北。現在は作家・解説者として活躍中。
(2021.05.12 民団新聞)