掲載日 : [2021-11-10] 照会数 : 4017
外国籍住民の地方参政権・基本的人権10カ国定住者が討論
[ 大阪韓国人会館を会場としたシンポジウム・セミナー ]
「コリアンワールド」創立20周年記念
外国籍住民の地方参政権・基本的人権を考える国際シンポジウム・セミナーが10月16日、17日の2日間にわたり大阪市内で開催された。「コリアンワールド教育文化ヒューマンライツ議会」がコリアンワールド創立20周年記念文化事業として主催した。
16日は大阪韓国人会館に日本、韓国、バングラデシュ、内モンゴル、カナダ、ペルー、ネパール、ベトナム、ブラジル、インドなど10カ国から定住者が集結。教育、文化、人権の諸分野にまたがっての報告、国際色豊かな白熱した討論会が行われた。
会の冒頭、鄭炳采民団大阪本部副団長は李元徹民団大阪本部団長の祝辞を代読した。
丹羽雅雄弁護士は「なぜ外国人、民族的マイノリティ人権基本法が必要なのか」をテーマに、「地方参政権などの基本的な権利が明記され、保障される人権基本法が必要である」と主張。
徐元喆民団中央事務総長は永住外国籍住民の地方参政権実現を求める小冊子を配布しながら「民団が存在する限り、地方参政権運動は続けていきたい」との持論を展開した。
金泰泳東洋大教授は「定住外国籍住民の地方参政権を実現する会」共同代表を務めており、「外国籍住民が地方自治に参画できるようにすることは、日本社会を〝壊す〟ことでなく新しい魅力あふれた日本社会を〝創る〟ものです」と主張した。
バングラデシュの倉沢宰さんは立教大学大学院の元特任教授で、十数年前から「地方自治の外国籍住民の地方参政権の重要性」を強調していた。
内モンゴルの王少鋒大阪電気通信大学准教授は「民族文化と国際性のバランス」をテーマに講演し、他にカナダ出身でマイノリティ宣教センター共同主事を務めるデイビッド・マッキントッシュさん、ネパールのトゥラダール・アスタ名城大学農学部助手、ベトナムの会社員ダン・ティ・ゴックさんらも積極的に討論に加わった。
ブラジルのボルジェス・フェリッペさんは「外国籍住民は、日本社会に寄り添う気持ちも必要だと思う」と、内に閉じこもらず、自らのアイデンティティを隠すことなく積極的に生きることを強調していた。
閉会辞で朴貞旺コリアンワールド論説委員は、日本社会の矛盾性をつき、〝義務と権利〟に基づく「当然の法理」の不当性を語っていた。
李相善コリアンワールド代表は「外国籍・地域住民が10カ国集結して、本当にうれしい。在日韓国人も民族内だけでなく、世界諸外国の人々と交流しながら、民族性・国際性を発揮してほしい」と締めくくった。
歴史認識でも
翌17日は大阪東成区民センターに会場を移し、「歴史認識の共有」をめぐって白熱した討論が行われた。参加者は戸塚悦朗弁護士、丹羽雅雄弁護士、朴一大阪市大教授、文京洙立命館大学名誉教授、徐元喆民団中央本部事務総長、金明弘在日韓国民団大阪本部副団長、呉光現聖公会生野センター主事、梁評守民団生野西支部常任顧問、高元秀グラフィック・デザイナーの各氏。
特に、徐事務総長は「日本の歴史を見ると古代、日本書紀の時代から韓国人への偏見があった」と指摘し、日本の排外主義を強く批判していた。また、戸塚悦朗弁護士、朴一氏、文京洙氏を中心に〝ヒューマンライツ(人権)〟の国際的意味合いについて深く論議がなされた。
(2021.11.10 民団新聞)